もずのわくわく劇場日記 No.001


1997年 10月26日(日)

浅草ロック座・ライヴ! 10/1〜30 公演

本日の出演

1.黒須麻里 2.藤咲ルミ 3.六代目 東八千代 4.沢口梨々子 5.五代目 東八千代 
6.安藤有里 7.紫城なつき 8.佐伯みすず 9.夏希由圭 10.フィナーレ

1.黒須麻里

舞台の幕が開く寸前、「ドタドタドタ」と言う足音が響く。
何事だろ うと思ったが、黒須麻里のスタンバイが遅れ気味だった様で、あわてたらしい。
ともあれ幕が開いた。

ソファーとパイプの立ち並ぶステージ。
憂いをたたえた表情の黒須麻里が、しなやかに踊る。
スリムな身体をくねらせる。前のはだけたコートの様な衣装の中は下着だけだ。
しかし、いやらしさはなく悲しい女をさりげなく演出していた。

パイプバーを上手く使った演技は見る者の目を引く。
曲が進むのにつれて客は彼女の世界に引き込まれ陶酔している。
ベッドでは誰もが、まばたきをするのも忘れ、まるで時間が止まっているかの様だ。

曲が変わり、客達が我にかえる、そんな時、始めて彼女から「笑み」がこぼれた。
ファンから花束が渡され、彼女は「来てくれてたのね。」とつぶやくように言い、手を振りながらステージは
暗転した。

2.藤咲ルミ

悩ましいため息の様な音楽と共に、紫城・五代目・安藤・佐伯・沢口・夏希による遊女が、キセルを吹かし
ながら男を呼んでいると言う設定だろう。赤紫のライトに女達が浮かび、何とも言い知れぬ不思議な空気
が漂う。

そんな中から、藤咲ルミが花道へと抜け出て来た。 右足、左足、そしてまた右 足と、足の親指を花道に
擦るようにして盆に向かう。 真っ赤なリボンを髪に、そして同じ色の真っ赤な帯に襦袢。うなじから肩にか
けてのラインがせつない。

盆の上を泳ぐように身体をひるがえし、男達の煩悩をあおる。 本舞台へ引返しながらも、左右の客から
目を離さない。熱い視線を浴びせ続けていた。

3.六代目 東八千代

舞台の左右にパイプバーが二本立てられ、そこからロープが張られている。
そのロープの端は、女のか細い両の手首をきつく縛り上げている。
髪を振り乱し、暴れる様に踊るのは、六代目 東八千代だった。

八月の襲名披露公演の時にはおとなしい少女的な舞台であったのに。
眉間にしわを寄せ、口元を引き締め、表情を作り、こんなに細い彼女の何処に、これ程のパワーがある
のかと思わせる様な出し物だ。

ワイルドでバイオレンスティックな踊りを披露しながらも、右足の足首にはサポーターをつけていた。
アキレス腱の具合はどうなんだろうと心配しながら見ていたが、大丈夫なようだった。

しかし、演技が終わり、ファンの人から熊のぬいぐるみをもらった時に見せた、いつものスマイルは仕事
をやり遂げたと言う、彼女の「ほっ!」としたすがすがしさを良くあらわしていた。

4.沢口梨々子

彼女の舞台は、森の奥深くにある、清らかな泉のようだ。
そしてその清らかな泉から湧き出る水は、乾ききった人の心を潤す魔法の水に違いない。
広いロック座の会場の隅々まで、彼女の持っている初々しさで満たされていた。
静岡のおじさんの声援を一身に受け、さらにファンの人が、回転する盆の上に、バラの花を等間隔に並
べて行く。その中に彼女は横たわり、まるで、白雪姫のようだった。

5.五代目 東八千代

何故かヘビメタで二曲も踊る和物。
しかし、振り付けは普通の和物だった。
介添えに六代目と藤咲が出ていた。
シルクの肌触りの様なサラサラした踊りが彼女の持ち味だ。
今回の五代目はどうだろう…興味深かった。

しかし、彼女流と言えばそうなのかも知れないが、全体に淡々と流れてしまった様な気がする。
私個人的には、もうチョットと盛り上がって欲しいなぁ…と思った。ちょっと残念だった。
私の個人的な思いだが、彼女は「東八千代」の看板背負っているので、厳しい事かも知れないが、
色々勉強して自分の持ち味を生かした芸の道を確立して欲しいと思う。
また、彼女にはそれが出来ると私は思っている。

★中休憩 ★

6.安藤有里

ミステリアス…そんな舞台の上手に“CAGE” (檻) 下手に四人の女(沢口・藤咲・外人二名)達。
薄暗い檻の中でうごめく一人の女。
手首足首には重い鎖が科せられている。
そして、音楽に合わせ、四人の女達は檻の中の女をいたぶり出す。
恐怖と苦痛に顔を歪める女… やがて檻が開かれ、鎖につながれたままの安藤が踊る。
手かせ・足かせを外して盆に横たわる。

グラマラス…痩身の安藤有里には大きめの胸のふくらみ、白のガーターに白の網タイツ。
顔にかぶる髪、その下から覗く瞳が愛くるしい。
彼女独特のミステリアスな雰囲気が漂うエロチックなステージだった。

7.紫城なつき

一転して明るい群舞が展開される。
縦に一列に並んだ五代目・六代目・黒須・佐伯・夏希、一番後ろに彼女。
そしてその皆の間を掻き分けるようにして花道へ向かう。笑顔が可愛い…
ピンクのライトが降り注ぐ中、フレキシブルな彼女の踊りはソツなく、その表情とあいまって、暖かい
感じがする。

お客一人一人に何か言葉を投げかけるように視線を送る…
私のテレパシーが、彼女の波長を捕らえた!

「私のすべてを見て…何から何まであなたのものよ。一つ残らず受け止めて欲しいの。」

私にはそう聞こえて来た。
背中から腰、ヒップにかけてのラインが美しい、もしもこの場にルノワールがいたのなら、すぐにも
キャンバスに彼女の裸身を描く事だろう。

8.佐伯みすず

再び暗いステージの中央には、十字架と白いキリストの像(仮面を付けた安藤)、そしてその左右
には燭台が一対。

教会の礼拝堂なのだろう。
讃美歌と言うよりも、黒魔術に近い祈りの曲が流れはじめると、黒い衣装に黒いレースのスカーフ
を頭からかぶった女がキリストの前にひざまずき、祈るのではなく潤んだ目でキリスト像を見つめて
いたが、やがて女はキリスト像に身体をすりよせ、その吐息は徐々に熱くなっていく…

しかし、女は自分のした行為の恥ずかしさに我に帰り、キリスト像の前から離れようとした瞬間!
キリストから手首をつかまれる。驚いた女はあわててキリストの手を振りほどこうとするが、キリストの
強引な力によって押し倒されてしまうのだった。嫌がっていた女も、身体のほてりを押さえつける事は
出来ずに、その身をキリストに徐々に委ねて行ってしまう。

なんとも意味深かつ、エロチックなショーであろうか。これほどのシナリオをストリップでやってしまう、
佐伯みすずはとても立派なものだった。 また、その相手役をつとめた安藤有里の演技力も光った。

どちらにせよ、二人とも大熱演のステージであり、私はこのショーがストリップであることを忘れてしまう
程の感動を受けた。ご覧になれなかった人が可哀相である。
さらに、この様なショーを構成し、公演出来ると言う、ロック座はすごい!と今更ながらにそう思った。

9.夏希由圭

やはり暗いステージの上は、上手にローリングタワー(やぐら)が組まれ、その上の高い所に真っ赤な
レザーのジャンパーにレザーのホットパンツ、ヒールの高さが20センチはあろうかと言う真っ赤なロンド
ンブーツをはいた、赤ずくめの夏希由圭が拳銃を持って座っている。

そして、下手の舞台そでから、胸にカバンを抱きしめるように抱えたフレアースカートにブラウス、会社
帰りか学校帰りの様な姿の安藤が、夜道を不安そうな様子で歩いて来る。

すると、黒のレザーのベストにホットパンツ、それに黒の警官風の帽子をかぶり、手には交通整理で
使う赤い棒ライトを持った警官(紫城・五代目・六代目・黒須・沢口・藤咲・外人二名の群舞)がパトロール
に来た。

そこで、不安な安藤ふんする女性が、その警官達に「誰かが私を狙っている…」と訴えるのだが、誰も
取り合ってはくれない。仕方なく、恐怖におびえながら歩き出そうとした瞬間! やぐらの上にいた夏希
から安藤は撃たれ、倒れる。

安藤の胸にはおびただしい鮮血が…
その銃声に事件を知った警官たちは、やぐらの上の夏希を逮捕に向かう。
(その間に倒れた安藤は警官二人によって、引きずられて引っ込む)

だがその警官達も一人、また一人と夏希に撃たれ、倒れていった。一人残った夏希は、高いやぐらの上
からゆっくりと降り、真っ赤なレザーの上着を脱ぎはじめる…・

今回の出演者の中で、唯一ショートカットの夏希由圭だが、顔が小さくって美形なものだから、清潔感が
あり、とても良く似合っていた。 また、ベッドも柔らかく、とろける様な美しいものだった。
しかし、こんな彼女はプロレス観戦が趣味だとか(舞姫辞典より) 顔に似合わず?生きの良い娘である。

久々の浅草ロック座の鑑賞だったが、やはりここは他の劇場では見られない、大掛かりで大人数で、まる
で「イリュージョン」の様な素敵なステージが見られて良い。 ロビーでしゃべっていたお客の話に耳を傾け
て見ると、「やっぱりロック座が一番良い!」と、言っていた年配の人が印象的だった。