もずのわくわく劇場日記 No.11


1998年 3月 8日(日) SHOW UP大宮劇場

「ショート・ショート編」 有森由希嬢・不二子嬢

白い奇蹟と黒の誘惑




〜憂える女神の奇蹟〜 有森由希

女神有森は遠く離れた天界から、闇の中に浮かぶ地球を見降ろしていた。
かつては青く澄み渡った美しい星であった。しかし、今の地球はどうだろうか。大気の温暖化、ダイオキシンによる汚染が進み、人間たちの心は荒み、傷つけあい、自らの存在すら見失っている… 女神有森の心は悲しみにあふれていた。

このままでは宇宙のオアシス「地球」は、生命無き「死の星」となるのは時間の問題だろう。女神有森の悲しみはK点を越えた。今こそ私の力でこの星を救い、かつての青く澄み渡った「地球」を取り戻さなくてはならない! 強烈な決意と愛を胸に秘め、女神有森の聖戦は始まった…

1998年3の月、女神有森は埼玉県大宮の地に降り立った。その出でたちは、何故かサンタクロースのコスチュームであった。それは自らに科した使命を遂行するために、女神有森が考え出したアイディアだったのだ。「神」である自分が、人間達の前にいきなり現れたのでは、かえって混乱を招く事だろう、人間達に受入易いように… と、クリスマスイヴの晩に現われる筈であった。

がしかし、天界から地球までは少しばかり遠かった… クリスマスまでには、充分間に合うように出発したつもりであったが、ここ大宮の地に着いたのは杉の毒の粉が充満している弥生三月になってしまったのだ。

何故ここ埼玉県大宮の地に降り立ったのか? それは事務所の都合だっただけの事だ。さらに女神有森とは言えども、毒の粉に汚染された地球では、免疫が無く、見事に毒の粉の影響を被った。くしゃみが止まらない…(余談だ…)

女神有森は、まず手始めに何から始めようかと人間たちを観察していたが、街を行き交う人間たちには、表情が乏しい事に気がついた… しかも、ストリップ劇場に通う男達には特に、その傾向が強い。手始めにここへ来る人間達を清めなければなるまい。

ともかく、女神有森はリクルートビル裏にある、「ショーアップ大宮劇場」と言う所の舞台へ舞い降りた。サンタクロースのコスチュームのまま舞台へ立ち、客席を見渡すと、まず、準備運動から始めた。十分に身体を温めてからでなくては、女神有森の愛のパワーを発揮する事が出来ない。BGMが必要だ! モーツァルトがいい!「トルコ行進曲」が心と体を温めてくれる。

最初は渋々手拍子をしていた人間達も、次第に女神の波動に共振してきた。女神有森は、清んだ瞳を大きく見開いて、更にパワーを送る。テンポが徐々に早くなる、手拍子もそれにつられて早くなる! そのやり取りが頂点に達した時、舞台は暗転した…

誰もいなくなり、暗いままの舞台に人間達の「女神有森」への熱い想いが注がれていた。すると、オーケストラの重厚なBGMと共に、女神有森は空中を漂うひと羽のグースの羽のように柔らかく、そして滑らかに舞う。人間達は完全に茫然自失… 汚れ無きニュートラルな時の中で、女神有森のパワーにより、見も心も清められて行く…

女神の額に巻かれたホワイトメタリックのヘッドバンド、解き放たれたシルクの黒髪。そして薄く透ける羽衣一枚… たったこれだけで荒んだ人間の心を愛と希望へと導いて行く女神有森… しかし、本当は女神と言えども、激しすぎる準備運動で、息が乱れている… それでも女神有森はその事を内に秘め、息を整えようと時々大きく息を吐く。舞台の近くにいないと分からないかも知れない… その吐息を桃色吐息と言う…

だいぶ人間達の顔色が良くなってきた、もうひといきだ! 女神有森は自らのパワーを人間達の浄化のために、惜しみなく発散する。その苦痛に耐えるために「ワァーーーーーッ!」と絶叫する。着ているハッピを脱いで丸めて、人間達へ向かって投げ込む! そして、それを受け止めた人間達も女神へ投げかえす! 繰り返す! 繰り返す! 繰り返す!

これは伝説のハッピと言う。何ゆえ? このハッピを投げられて、見事に受け止める事が出来た人は、「しあわせ」になれると言い伝えられている。(筆者は気を使って頂いて、栗橋の時の分まで二回も投げて頂いた…)言いたくはなかったが… もう我慢が出来ない!「ハッピ」だけに、「ハッピー」なんつってぇ… TOKIOの城島の様になってしまった… 暖かい眼で見て欲しい…

そして、女神有森も人間達も感極まり、双方の波動が見事に共鳴し、女神有森の最初の仕事は終わった。すっかり生きる気力を取り戻した人間達の、さわやかな顔がそこにはあった…



〜黒い貴婦人の誘惑〜 不二子

その日、私はようやく激務を終わらせ、帰途についた。

春とは言え夜になればまだ薄ら寒い。疲れた体を引きずるように人通りの多い表通りを歩いていたが、気分的に煩わしく思い、人気の無い裏通りを歩きたくなった。フラリと路地を曲がり、しばらく行くと表通りとは対照的に暗がりの路地は人気どころか、猫一匹歩いていない淋しい道だった。

考えたくも無いが、今日あった出来事の一つ一つを思い出し、独り言にグチをこぼしながらコツコツと靴音を立てて歩いていると、何本か先の街灯の下に何かあるようだ。私は眼をこらし、それを凝視した。どうやら人影のようだ… それも女だ。こんな夜更けにどう言う訳だろうか。娼婦でもあるまいに… 第一、娼婦ならばこんな人通りの少ない路地に立っていた所で、客を捕まえる事も出来まい。

しかし、今日の出来事なんぞを考えているよりも、今頃の時間、こんな暗がりの路地にたたずんでいる女について、思いを巡らせていた方がよっぽどマシだった… 近ずくにつれて、しだいにその女の顔が鮮明に見えてきた。

黒いエナメルのピンヒール、黒のレースの柄の透けたロングドレス、髪は結い上げてアップにしており、その上に小さな黒い帽子を乗せている。その帽子からやはり黒のベールを下げ、顔を覆っている。上から下まで黒ずくめだったが、娼婦と言うよりも品の良い貴婦人と言った感じだ。

どう言うつもりなのだろうか… 私は歩きながらその不思議な女の事を観察していた。だいぶ近ずいた。私は少々薄気味悪く思っていた。このまますすむとあの薄気味悪い女の前を通り過ぎる事になる。どうしたものか… そう思いながらも何故か足は止まらなかった。もうその女は眼と鼻の先にいた。

私は何事も無くその女の前を通り過ぎてしまおうと歩みを早め、無事その女の前を過ぎたと思ったところで、背中越に呼び止められた。私は突然の出来事に狼狽した。あわてて振り返ると声の主は言わずと知れた黒ずくめの女だった。

「Z様、お待ちしておりましたわ…」

私は心臓が口から飛び出しそうになった! 何故私の名を…! 女の顔は笑みをたたえていた。良く見ると、とても美しい女だ。闇のしじまの中に血が滴り落ちるような、真っ赤なバラの花が一輪咲いた… そんな容姿だった。私は改めてその女に問い返した。

「私に何か…? それにどうして私の名を?」

私の問いにその女は答えず、「こちらへどうぞ…」と私を誘った。私は訳の分からない話に巻き込まれるのはごめん被る! と強い調子で言おうとして、その女の眼を見た。すると、高ぶった気分が何故か消えてしまい、急にその女の言葉に従わなくてはならないような気がして来たのだった。

「あなたの名は?私を一体何処へ連れて行こうと…?」その女は間を置いて「…不二子と申します。」とだけ答えた。私は何がどうなっているのか、何が始まろうとしているのか、まったく分からないがこうなった以上、その「不二子」と言う女について行くしかなかった…

とある古びたホテルの様な洋館の一室に案内され、私は部屋の中を見回した。かび臭い匂いが鼻を突く。電気はつかないのか、「不二子」と言う女は小さなテーブルの上にある燭台にマッチをすり、灯かりを点した。不安な気持ちが胸の中に充満する。不二子は私を部屋に独り残し、何処かへ出て行ったが、すぐに戻って来た。手には1メートル程のロープを二本持っており、私の眼を見つめながら言った。

「しばらくの間不自由でしょうが、何も言わずに我慢してください…」

そう言うと不二子は、一本のロープを使って私の両手首を縛りあげ、更にもう一本のロープで両足首を縛った。「何の真似だ!」そう叫びたかったが何時の間にか声が出なくなっている。それに、まるでしびれ薬でも飲まされたように体が動かない!

突然! 私は不二子から背中を蹴り飛ばされ、部屋の隅っこの壁にぶち当たり、倒れた… 自分の身に起こった出来事に気が動転していた。首を無理矢理よじり、不二子を見上げると、そこに立っていたのは今までの貴婦人の様な不二子では無く、まるで黒ヒョウのように鋭い眼をし、栗色の長い髪を振り乱した別人の様な不二子だった。

不二子は、黒いレースのドレスを脱ぎ、トップレスの黒いボディースーツ、黒い網のストッキングを着けている。そして、手には調教用のムチを持っていた。私は恐怖で顔を引き攣らせていた。不二子は私に歩み寄り、縛られて自由を束縛された私のズボンを下げ、下半身を露出させた。

すると不二子は、手に持ったムチの柄を口元へ持っていき、しゃぶりはじめた。不二子のピンク色をした舌がムチの柄にからむ、唾液が流れる。いとおしそうにムチを抱きしめる。舌先を繊細に使い、右から左から、下から上から恍惚とした表情で、時折私の顔と局部を確かめる様に見つめる… 相変わらず私の顔は引き攣ったままだが、私の局部は本能のままに反応していた。

今度は、床に寝そべったかと思うと、何処にあったのか真紅のスカーフを取り出し、座り直して目隠しをする。私に良く見えるように、目隠しをしたまま自分の豊満でたおやかな乳房を、揉みしだく… 喘ぎ声が聞こえて来る。私は居たたまれなくなり、思わず眼を閉じる。すると目隠しをしている筈の不二子から眼をつむらないで! ちゃんと見て! と叱咤される。

もう私にはどうする事も出来ず、目の前の不二子の事を見守るより仕方なかった。不二子は厚く真っ赤な唇を開き、細く長い指を口の中へ押し込み、舐める。舐め回す。そして、その指を自分自身の中へねじ込み、深く浅く、浅く深く、更に深く… 陶酔している… さらに激しく摩擦する。二、三度痙攣し、不二子は落ちた…

しばらくじっとしていたが、やがて、けだるそうにユラユラと四つんばいに立つと、不二子は再び黒ヒョウの様な鋭い目付きで私をにらみ、ゆっくりと一歩づつ、部屋の隅に転がっている私の方へ近づいて来た! まるで獲物を見つけた黒ヒョウが、空腹を満たすために狙っているように…

私はその恐ろしい不二子の眼から、視線を外す事は出来なかった。追う者の強い視線と恐怖に怯える者の切ない視線が絡みあったまま、私の心臓は爆発しそうになり、間近に迫った不二子の手が私に届いた瞬間!

私は猫の鳴き声を聞いて目が覚めた! かび臭い匂いがした。私は一体どうしていたのだろう? ムクリと起き上がり、辺りを見回すと目の前には黒い小猫が震えて鳴き声を立てていた。そして、私は何故か道路のごみ置き場の中に倒れていた。夢を見ていたのだろうか? 今、一体何時頃だろうと腕時計を見ると、くっきりと手首にロープの跡がついていた。そしてズボンも…

注意!

このページの話は、有森由希さんと不二子さんの出し物について、筆者が自分勝手な解釈・夢想を思い描いたものであり、決して有森嬢は天界からやって来た女神様ではないし、不二子嬢もお客のスボンを引き降ろしたりする事は、絶対にありません。二人ともとても素敵なステージでみなさんを楽しませてくれる、素晴らしい踊り子さんです。お近くの劇場で是非ともご観劇下さい。