もずのわくわく劇場日記 No.14


1998年 4月12日(日) SHOW UP 大宮劇場

暖かくなりました… [日記編]



土曜日の夜、「なぁ〜んか今週はつかれたなぁ…」 と言う思いから、明日の日曜日は劇場へは行かず、家でのんびり過そう…そんな風に考えていた。それに、今の所行きたい劇場もない。後半になれば、行きたい所ばかりなのに…そんな事から土曜日の夜はボケーっとしていた。パソコンの雑誌などを読みながら、テレビをつけっぱなしにしていると、何処かで聞いたようなメロディーが流れてきた。

曲名は知らないが、ロック座当たりで良く流れている曲だった。すると、何故か血が騒いで来る。「劇場へ行くのだ!」 何処からかそんな声が聞こえてきたような気になった。しかし、夜もだいぶ更けてしまった。これじゃあ明日は朝起きられんわ… そう思いながらも、うまく朝起きられれば… と言う期待をしてベッドにもぐりこんだ。

翌朝、目覚めれば午前9時。うぅ… やっぱり起きられなかった。しかしながら、寝不足でモヤモヤしている頭の中に、七色のライトに浮かぶ踊り子さんの幻がよぎる。劇場に行きたい! そんな思いが俄然! 高まって来る。しかし9時かぁ… 出来る事なら、川崎へ行きたい。だが… JR南武線に快速列車は無い。今から出かけたとて、良い席はゲット! 出来そうにないだろう… さて、今から出かけたとして、良い席が取れそうな劇場は… 大宮かシアターラブームかぁ… どっちが家から近いかと言えば、大宮だろう。

そんな事を考えながら、雨戸を開けていると、外が妙に暖かい様な気がした。(実際には気温は昨日より低かったのだが…) 大宮かぁ… 前回は有森さんと不二子さんで楽しませてもらえて、うれしかったなぁ… あの時の良いイメージが膨らんできた。「よし! 大宮へ行こう!」 自分自身に向けて宣言をした。

香盤は誰が出ているのだろう… もう、調べているひまはなかった。とにかく劇場へ行くのだ! ふと、私の頭の中にひらめいた。「今日は暖かい… 大宮… バイク! そうだ、バイクで行こう!」 しばらくバイクには乗っていなかったが、「丁度良いからツーリングがてら、大宮までひとっ走りしてみよう。」 そんな気分になった。

昔、私はスズキのRG250Γと言うバイクに乗っていて、奥多摩や青梅の峠道を攻めていた事があった。皮のレーシングスーツを着て、Γ特有の排気音を響かせ、颯爽と走り回っていたのだ。しかし、その頃の友達の言うには、「何でお前だけコーナーで、ツーリングしているんだ?」 とんでもない認識違いだ! 峠道はサーキット出はない。安全マージンを十分に取り、無事、コーナーを脱出出来てこそ! ストリートレーサーと言うにふさわしい。これは、私の走りの哲学であった。

しかし、忘れもしないいつかの出来事であった。(忘れている…) いつも走っている仲間とは、違うメンバー二人と青梅の峠道を走る事になった。「ツーリングだから、ゆっくり走ろうぜ。」と言う言葉は、クラッチをミートさせるまでの、儚き約束事であった。私はクラッチをミートさせると、レッドゾーンギリギリまでギヤを引っ張った。軽快なリズムとうなりをあげるバイク。気がつくと私は先頭を走っていた。何と言う気分の良さだろう… 「絶好調!」 私はアライのヘルメットの中で、シャウト! した。

しかし、これが悪夢の始まりだった。いい加減仲間を引き離した事をバックミラーで確認していた。していた… していた… アホ! そんなにいつまで後ろを見ている奴がいるものか! そう思って前を見た。道が無い! そんな馬鹿な事はない。道が曲がっていたのだった。およそ80キロくらい出ていた。あわててブレーキレバーを握る。今更間に合う筈も無い… 完全なオーバースピードだった。右のコーナーに進入していた。「ブレーキレバーを離せ!」 自分に命令を下したのだが、右手は金縛りにあっていた。当然フロントタイヤが滑り出す。何故かスローモーションの様に、穏やかに時間が流れて行く、気持ちが良かった。 次の瞬間、私は右肩から、路面に叩き付けられた。

ズリ・ズリ・ズリ… と言う鈍い音を立てながら、私は路面を滑走していた。その後ろから、バキ! ベキ! ガリ! っと言う破壊的な音が、響いて聞こえた。と思ったら、何か固まりのようなものが、私のヘルメット越しにチラッと通り過ぎた。取りあえず、いい加減すべった後、3回転程転げ、私は慣性力から抜け出る事が出来た。そして、私はムクリと起き上がり、2、3度パンパン! と両手で膝の辺りについたホコリを払うように叩くと、「フン!やっちまった。」不敵な笑みを浮かべ、後から来るだろう仲間を待っていた。

しばらくして、仲間がやってきて言った。「休憩すんのか?」 アホ! 何処見てそんな言葉が出るんじゃ! 「おい、バイクはどうした?」 私は言われてみて気がついた。バイクの破片は飛び散っているが、本体が見当たらない。あれ? と思って探して見ると、バイクはガードレールを飛び越えて、4メートル程土手をすべり落ち、川の中でお魚になっていた。

とても人間の力で上まで引き上げる事は、不可能だった。死ぬほど恥ずかしかったが近くの民家へ行き、電話を借りて知り合いの自動車屋でレッカー車を持ってきてもらい、ワイヤーで引き摺り上げる事になった。私のバイクはボロボロになっていたが、引き摺りあげてエンジンを掛けて見たが、何事もなかった様に快調なエンジン音を響かせていた。狂っていやがる…

幸い私も皮のレーシングスーツのおかげで、かすり傷一つなく、肩の打撲だけで、何でもなかった。とんでもない一日になってしまった。そんな事があって、バイクは廃車し、スクーターを買った。そのスクーターを未だに乗っている。おっと! スゲー話が脱線してしまった。話を元に戻そう。

それで、今日はスクーターにのって、大宮へ行く事になったのだった。

ヘルメットを被り、ジャンパーを着込み、大宮へ向けて走り出した。大宮へは一時間位で着くだろう。R16をひたすら大宮めがけ走る。途中、朝っぱらから事故っている奴がいて、渋滞していたが、こっちはバイクだ、車の脇をすり抜けて快活に走る事が出来る。今日は寒くないし、気持ちいいなぁ〜♪ そんな事を考えながら、あれよ! と思う間にリクルートのビルのところまで来てしまった。

信号を右巻きし、さらに右巻きし、商店街の方へ入り、悪い事とは知りながら、違法駐車の自転車や、バイクが並べられている、歩道に自分のバイク、「ホンダ・エレファント 8000 パオ〜ン!」を紛れ込ませる。鍵を掛け、ヘルメットをしまい、セカンドバッグだけを取り出し、ショーアップ大宮劇場へと向かう。

ちょうど劇場へ着いたのは、10時40分の事だった。予定通り。すでに開場していたので、入場料2500円を支払い、場所探しをすると、前盆の正面二列目の通路側をゲット! する事が出来た。よし、よし。