もずのわくわく劇場日記 No.9


2001/05/20(日) 川崎ロック

ネイキッド・ビジョン



■ Naked Vision

数多くの踊り子たちの人知れない苦い涙、そしてとめどなく飛び散った汗の雫・・・喜怒哀楽のにおいがしみ込むわずかばかりのスペース、舞台・・・そんな空間に華やかな照明を全身にあびた三人の踊り子がフィニッシュのポーズを FIX させていた・・・


仙葉由季・・・

平松ケイ・・・

加納 藺・・・


大喝采の拍手の渦の中に三人の満たされきった満面の笑顔がまぶしく、光りの玉のように舞台の上に浮かび上がっていた・・・ 


幕は場内の暗闇を切り裂く様に左右に開いた。
仙葉由季を中央に、しもてに一歩下がって加納 藺、かみてに同じく平松ケイ。それぞれに色彩の異なるあでやかな着物を身にまとい、手には黒い羽の大きな扇を胸をおおい隠す様に持ちながら真っ直ぐに立っている。

仙葉由季は薄いブルーの着物に楓の葉の絵柄が施されもの、また日本髪の容姿。平松ケイは白を基調に百合の花、現代風に動きのある和風髪。加納 藺は萌黄色を基調に牡丹の花があしらわれていて、髪は平松同様の現代和風髪。
日舞のステージからのオープニング。

軽いリズムのBGMが流れ、三人はそれぞれに扇を振りかざし楚々とした動きで踊り始めた。優雅にふわりふわりとした感覚で、あたかもふうーっと息で吹き上げた三枚の羽根が宙を戯れながら舞い降りて行くが如きもので、ゆったりとした不思議な空間を創造している。

その中から加納 藺が一人中央に進み出て踊り、一度袖に消えた平松が白襦袢姿で、しもてから現れた。帯びヒモは締めず襦袢の前が開いているさまで、仙葉も同様にかみてから現れる。

加納が帯びを解き、その端を平松にあずけると平松はその帯を引く。そして加納は引かれるままに、かみて方向へ身を回しながら完全に帯は解かれた。そして着物を平松に脱がされて朱の薄く透けた襦袢になり、曲が神々の・・へと変わり、シンコペーションの軽く飛び跳ねるようなリズムに合わせ本舞台から盆へと進んで行った。

加納 藺のソロベットになる。
曲が変わりヴァンゲリスの名曲が寒々とPAスピーカーから流れ、盆の上に加納がはべる。極地に取り残された二匹の犬が氷原を走りまわるロケーションが頭の中を駆け巡る・・・(蛇足)

加納 藺の持っている個性、穏やかで温たかいヴェールが客席を包み込む。常に口元に微笑を湛え見る者の心を癒す、癒し系の甘くまったりしたベットショーに拍手を贈る。

そして舞台は暗転の後、白いワイシャツをふわりとはおり、黒いスーツに黒い帽子スタイルの三人組みの怪しげな男達風・・・ 定番のBGM スパイ×作戦。三人が絡み合う様に舞台上を踊り歩く。特に平松をメインにした振り付けで、それに加納がからむ。

仙葉がハイヒールをそれとなく手にぶら下げて舞台中央に置かれている椅子近くにそっとしのばせる。平松は黒いスーツを脱ぎ捨て、白いワイシャツ一枚の姿になり、用意された靴に履き替えて踊る。どうやら加納が男役で、平松が女役のようだ。

加納が平松を脇から抱きかかえる。しなだれかかる様に身を寄せる平松・・
だが男は未練を残す平松を振り切るように立ち去ってしまうのだった。

盆の上で悲しみに暮れ、呆然としている所へ仙葉がかみてから入って来た。そして舞台中央にある椅子の背もたれに掛けてあるスーツを手に取り、探るような視線でスーツを見つめ、今度は帽子を手に取りハッ ! と何かに気がついた様に、盆の上でむせび泣いている平松を振り返る。

仙葉はゆっくりと平松へ歩み寄り、そっとその細い両肩へ手を差し伸べる。平松は泣きながら誰に想いを、感情をぶつけているのか・・・

「不穏な悲鳴を愛さないで、未来など見ないで、今だけ重ねて、あたしの名前をちゃんと呼んで、身体を触って、必要なのはこれだけ、認めて・・・」そんな平松を見て全てを見透かしたのか、ふっ ! と微笑を浮かべ、平松の頭を撫でながら愛情を込めて 「バカだなぁ・・・」と言う様に口元を歪め、帽子を平松に無造作にかぶせると、平松を気使うように舞台袖へと消えて行った。

独り残された平松の感情が噴き出すベットへと進む。見る度に、会うたびに益々綺麗になっていく平松ケイ。そのベットは今回のストーリーと相まって、見事に切ない女の色気を演じきっている。白いワイシャツ姿のベットは色々な踊り子さんで見てきたが、この時の平松ケイほど可憐に美しく着こなしているのは特筆ものだと思う。感嘆。

-------暗転

Rock のリズミックな曲が流れ出すと共に、仙葉由季のソロステージが始まった。観客の手を打ち鳴らす音がこだまとなって仙葉由季とシンクロしている。白の左右重ねてヒモで縛っている形のキャミソールにクロムメタルのスパンコールのスラックススタイルで細身の身体を包んでいる。

まずは舞台中央でリズムを刻みながら花道へ歩き出し、BGM のリズムのブレイクにシンクロさせて顔を右 ! 左 ! とピシッ ! ピシッ ! と向ける。その度に後ろで束ねた長い髪が揺れる・・・たったそれだけの振りなのに刃物の様にリズムの切れがメチャメチャ鋭い。

そのまま盆へ進み盆の上でお客一人一人の顔の表情を確かめるように視線を飛ばしている。その時の仙葉の顔は、ステージに立っている ! この瞬間のために私は踊っている ! とでも言うかの如く、実に快活な精気に満ち溢れていた。また相撲のシコを思わせるような一風変わった振りつけなども取り入れて、かなり独特なパフォーマンスを展開したパワー溢れる純粋なダンシィングステージに終始した場面である。

さて、すでに仙葉はトップレスになっているのだが、曲が変わり盆の上でくるりと背中を向けると、右側の背中に龍の彫り物が見えている・・・スローテンポな曲に流されるように本舞台へと進んで行く。そして、中央にそのまま後ろ向きに立ち、上半身だけを深く折り曲げスラックスを足首まで押し下げると、妙になまめかしく素肌が露出される。先ほどの彫り物はどうやら右の大腿部まで入っており、「極楽鳥」の絵柄の様だ。

バックスクリーンの前に置いてあるライトが柔らかく仙葉を後ろから照らす。
仙葉は舞台中央でかみて方向に向いて床に座り、徐々に足を伸ばしながらへの字形になった所でとめ、上半身も倒し、ヒザに身体を埋める様にしてそのまま FIX したのち、ゆるやかに照明が落とされて終わる。

音楽も仙葉も油圧仕掛けのようなじっくりとした流れで、何とも不思議な重力の空気が漂う仙葉の刺青をフューチャーした幻影的な場面だ。まさにこの場面こそ今回のタイトル「 Naked-Vision 」の背骨にあたる重要なファクターの一つなのではないだろうか・・・

----------暗転

ハイテンポなリズムの BGM が響くと共に、ストロボライトが瞬き、その閃光の中で平松・仙波・加納がジャネットジャクソン風のタイトなダンスを繰り広げている。観客の手拍子さえ雷鳴のように力強く響きその衝撃で川崎ロックの床は抜け、壁は打ち砕かれ、天井はこっぱみじんに吹き飛ばされた ! その破片と爆風で近隣の駐車場や YAMAZAKI SHOPまで被害が及び当局は緊急事態宣言を発令 ! 自衛隊の出動を要請 !・・・あぁいや、それは書き過ぎであった・・・それではショーが続けられない、ご無礼 ! そろそろアドレナリンのコントロールがきかなくなって来たようだ・・・(苦笑)

加納・仙葉・平松はトライアングルフォーメーションで弾む様に踊っている。加納は唇をやや開き、平松はキリッ ! と結びシャープに ! そして仙葉の眼は遠くを見つめていた。それぞれ同じ振りつけをしていても個性の浮き立つ一場面、ダンスフリークにはたまらないチームワークの良さをしっかりと見せ付けてくれる。

場面は変わって、仙葉のソロベット・・・

仙葉が椅子を持って登場。
黒のふちの大きな帽子をかむり、黒のブラにヒジの上まである手袋、黒のロングフレアースカートそしてやはり黒のストッキングとハイヒール。素肌と衣装のコントラスト・・・盆に椅子を運び、 BGM と照明の中を泳ぐ仙葉。椅子の上に座りゆっくりとした動きでハイヒールを脱ぎ、脱いだ靴を手に持ったまま片足づつストッキングを Take off 。

そしてそれらをそれぞれのハイヒールの中へ入れる。マジシャンのような顔の表情で客席を見渡す。椅子から降りて盆にはべり、いとおしそうに椅子の背もたれにからみながら手袋をはずし、それを椅子の背もたれに結び付ける・・・くちづけをする・・・黒い帽子がエレガントで良く似合っていた。

そんな仙葉のベットをうるんだ瞳で見つめる観客達・・・ 
すると、盆の上で座り込んでいる仙葉が不可解な動きをした。おや ? と仙葉の細い手を注視すると、右手の人差し指を一本立てて左の手首をすーっと切る真似をした。んっ ? どう言う事なんだ ? 剃刀で手首を切って自殺するみたいだ・・・ 次に両手をお腹にあて、扉が開く様にパッと両手を小さく開く。

さらに今度はその両手を胸にあて、同じように開く。続けて自分を指指してから両手を重ねて胸の前から平泳ぎをするように水平に伸ばしながら開く。両手の指で左右それぞれチョキを作り、胸の前で親指と親指をくっつけ、それをかざしながら弧を描く様に前へ広げる。そして本舞台へと戻って行った。手話のようだ。

どう言う意味なのだろうか・・・
何か重要なメッセージを投げかけているのに違いない。手話は私には分らないのでジェスチャーとして捉えると、手首を切る真似・・・行き詰まり。
お腹と胸を開く・・・心を開く、身体を開く。
自分を指差す・・・わたしの事。
両手を前に広げて・・・みんな ? 全部 ? チョキ二つくっつけてから前へ遠く伸ばして・・・
二人離れ離れ ? つなげてイメージして見ると・・・

身も心も全部捧げているのに私の事を分ってくれない、あなたは行ってしまった・・・私には生きる望みも希望もない・・・死んでしまうしか道はないわ・・・私はあなたと一緒に居たかった・・・ずっと、ずっと・・・ 今このまま時間を止めてあなたへの愛を「永遠」のものにするのよ。さようなら、愛してるよ・・・ 

平松ケイさんのベットから物語りはつながっているのだ。
そして椅子を持って本舞台へ向かって仙葉は歩いていく。舞台の中央に椅子を後ろ向きに置くと加納と平松が、灯りの燈されたろうそくの入ったシャンペングラスを両手に持って入って来た。

仙葉は椅子の上に立ち、加納と平松がその両脇に立ち、これからミサが始まる。
仙葉は椅子の上で先程のように手話を始める。

最後のお別れだろうか・・・ そうなのだ、手首を切って意識が遠退き、仙葉演じる女を加納と平松が黄泉 (よみ) の国から迎えに来たのだ。やがて仙葉は迎えの二人からろうそくの灯りが燈るグラスを受け取る。ろうそくの燈火 (ともしび) は、その女の命の燈火なのだ。

迎えの二人は闇にまぎれ、仙葉一人が舞台中央にポツンと残り、照明がすべて落とされ暗闇と化した場内で、仙葉の手の中にあるろうそくの、ほのかな灯かりだけが唯一の「光」となった。そして仙葉は「命の燈火」のグラスに顔を近ずける。

仙葉の顔が、揺ら揺らと揺れるろうそくの灯かりの中に浮かび上がる・・・
仙葉は微笑を浮かべ、「命の燈火」に息を吹きかけ、そして「光」は一筋の煙を立ち上らせ、消えて無くなった・・・

オープンショーフィナーレ♪

にぎやかな BGM と派手な照明が舞台を照らし、NAKED-VISION のメンバーの三人が、すがすがしい笑顔を輝かせて登場 ! 今まで息を止め緊張しながら見守っていた観客達も、すがすがしい笑顔を輝かせてハジケた ! 手拍子 ! タンバリン ! 奇声 ! 息をつくヒマもなく次から次へと展開するダンス ! ミュージック ! ストーリー ! ストリップと言う舞台にあるすべてのファクター(要素)をギュッ ! と濃縮して詰め込んだ NAKED-VISION ! まさにストリップのパンドラの箱と言うべきミラクルショー !

ここでもう一度、加納 藺・仙葉由季・平松ケイの三人、そしてそのNAKED-VISION ! を影からチカラ強く支えた川崎ロックのスタッフに改めて盛大な拍手を ! YEAH !!



 あとがき

最初にご注意申し上げたいのは、後半部分のストーリーの解釈は、私のイマジネーションからの解釈なので、仙葉由季さんの意図した物語に沿っているかどうかは分りません。ただ、「私はステージを見てこの様に思った。」と言う所を書いただけのものです。

もしかしたらもっともっと奥の深いストーリーなのかも知れませんが、私の貧弱な脳みそではこれくらいの解釈をするのが精一杯でございます。的がはずれていたらばごめんなさいね (苦笑)

さてさて、今回の川崎ロックでは、第一部と第二部との二部構成になっておりまして、第一部が通常の公演、第二部が NAKED-VISION となっておりました。

ともするとお客の入りも第一部ではチラホラと空席もあったりして、多少、第二部からすると影に隠れたような感もありましたが (私が見たのは 5月20日の一回目とニ回目のみですが・・・)

第一部にご出演の夕貴美保さん、オープニングではウエイトレススタイルでお盆を持っての超カワイイダンス、二曲目・三曲目のセクシーな大人の色気溢れるしなやかなダンス、ベットでの悩ましい悩殺ベットなど、とても魅力的なステージでしたし、桜澤まみさんのちょっと懐かしい曲を使ったウキウキでワクワクのステージも思わず BGM を口ずさんでしまったりして、楽しめました。

さらに ! 三代目・東八千代さんのしっかりとしたクレオパトラ風の動きの多いステージも中々見ごたえありました ! ちょっと全部書くと文章が長くなりすぎるので、今回はご紹介のみとしますが・・・ごめんなさいね。

とにかく一部・二部を通して内容がとっても濃くて、観劇に行った甲斐がありましたョ♪ 今回残念ながら観劇に来られなかった方は、せめてこのレポで雰囲気だけでも感じて下さい。 だったら全部書けって ? おっしゃる通りでございます・・・しかし私は、NAKED-VISION で力尽きてしまいました
(苦笑)


この NAKED-VISION のレポートを書いている間の参考・・・

飲んだコーヒー 9杯・吸ったタバコ 3箱・気持ちを盛り上げるために聞いていた CD 「勝訴ストリップ / 椎名林檎」・作った MIDI 「罪と×」このページの BGM。 以上

Ver.1.1



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