もずのわくわく劇場日記 No.20


2001/09/30(日) 新宿ニューアート 「渡辺理緒 編」



本日の香盤
(もずの観劇・1回目新庄愛さんから〜3回目の平松ケイさんまで。)

1.渡辺理緒 (P) 2.絵梨華 (S・2回目のみ) 3.仁科ちあき (P) 
4.平松ケイ(P) 5.新庄愛 6.五代目・東八千代 (S) 7.葉山小姫 (P) 


1.渡辺理緒 (扇・OUGI)

暗転しているステージ上に渡辺理緒のシルエットが微かに見える。その闇の中に白く揺ら揺らと、うごめく物が浮遊していた。あれは一体なんだ ! ザワザワとしていた客席が静まり返って行く。私は眼をこらしてその白い影のような浮遊物の正体を確かめようと、じっと集中力を両眼に集め、焦点をその謎の浮遊物に合わせた。

眼が闇に馴れ、徐々にその正体が見えて来た。その白い浮遊物はどうやら渡辺理緒の両手に握られている羽根の扇の先端に染められたアクセントの様だった。だが、スタンバイしているはずの渡辺理緒の扇が何故に暗闇の空間を泳ぐ様に、浮遊しているのだろうか・・・
その答えは、渡辺理緒のダンシィングスピリットの中に秘められていた。

渡辺理緒の身体の中には、もっと美しく踊りたい、そしてもっともっと私の事を見て欲しい ! そうよ、あなたの視線で私ハートをジンジン熱くして・・・ と言う想いが、爪の先から足の先まで、充満し、渦巻いているのだ。そのためなら渡辺理緒はホンのわずかな時間も惜しんでプラクティスし、イメージするのだ。ステージにとどろく大音響のBGM が鳴り響くその瞬間まで。

やがてその瞬間はやって来た。眼を差すような強い閃光が渡辺理緒をめがけ、浴びせ掛けられると、BOSE のスピーカーを激しく振動させるBGM が突き出して来る。ひるむなっ ! 渡辺理緒との戦いは今始まったばかりだ ! 眼をこらせ ! 手拍子をブチ込むのだ ! タンバリンを打ち鳴らせ ! 皆の数百の視線攻撃で渡辺理緒の腰が立たなくなるほど熱く感じさせるのだ !

渡辺理緒は客席からの攻撃を一人、細い身体すべてで受け止めている。
黒い羽の髪飾りをつけ、両手に大きな黒い羽根の扇をつかみ、そう、最前の羽先が白く染められた扇だ。それを大きく広げ、細身の黒いベルベットのシンプルなドレスには、ダイアを散りばめた飾りがある。何億光年もの宇宙空間を飛び続けているロンサムスペースバードのように思える。一体どこの宇宙から飛んで来た者だろうか ? 何を思って飛んで来て、どこへ行くつもりなのか ? 答えはいずれわかる事だろう・・・

ステージ上に背中を向けて立つ渡辺理緒は、黒い羽をさやさやと揺らしながら、足もとのハイヒールをギュッと鳴らしながらそこを軸に身を翻す様に身体を反転させ、正面を向く。額に回したヘアバンドがライトを反射し、サザンクロスの輝きを放つ。眼を細め、遥か彼方を眺望しながらコスメチィックなピンクに染められたくちびるをわずかに開く。

ミディアムテンポの飛び跳ねるような BGM がミステリアスにうめく。手につかんだ黒い羽根の扇がふわりふわりと場内の空気を揺り動かす。くびれた腰のラインがしなやかに揺らめく。時の流れが大河のうねりのように大きくゆっくりと過ぎて行くようなステージ空間。キックドラムの鼓動が腹に重く打ち付けられてくる。

しなやかなターンと両手の羽根の扇の動きを中心に、渡辺理緒のスレンダーなボディーにフィットしている黒いベルべットドレスを通して、ボディーラインを十二分に楽しめるシーンのショーである。

さて、ポーズをステージのセンターで決めてオープニングの曲が終わると、すぐに二曲目が始まる。スリープパッドのフェイドインからハイハットシンバルと会場のタンバリンが、シャキシャキと16分音符を刻み、シンコペーションの飛び跳ねるリズムでベース & ドラム、ミュートギターがリズムセクションで小節を重ねて行くと、その上に胡弓のアバウトな音階のメロディーがソロを奏でる。

そんな曲に合わせて渡辺理緒は、カミテのソデへと流れて行き、黒い羽の髪飾りを外すと、栗色の髪は丁寧に束ねられてあった。その髪を解き放ち、自由を得た髪はサラサラと広がって行く。そして渡辺理緒の身体を拘束していた黒いベルベットのドレスを TAKE OFF 。身も心も開放し、軽やかな桜色のキャミソールをキャシャな腕を滑らす様に肩へと落とす。

黒いハイヒールを脱ぎ捨て、シルバーラメのハイヒールを履き終わると、自然と顔の表情も穏やかになり、柔らかく立ち上がる。どうやらロンサムスペースバードは、目的地へ降り立ったようだ。そう、ロンサムスペースバードが目指していたのは、宇宙のオアシスだったのだ。アンドロメダを抜け、冥王星を振りかえり海王星を道しるべに、天王星にこんにちわ♪ 土星の滑り台で遊び、木星の大きさに驚き ! 火星のたこ焼きに舌鼓を打ち、腹ごしらえをして飛びつづけ、アースウインド & ファイヤーの宇宙のファンタジーを口ずさみながら、ようやく涼やかなそよ風が吹き、密やかに花の咲き乱れるオアシスへたどり着いたのだった。

胸のあたりに桜色の羽根をあしらった軽いキャミソールになり、すっかり気持ち良くなった渡辺理緒は、一段高い盆に正面を向いて立ち、パッ ! と両手を前から横へと大きく広げ、Hmu〜 Hmu〜♪ とハミングからバラードに乗せて、夢心地で盆にはべる。

渡辺理緒のベットには珍しく、盆前のお客にハートフルなスマイル & アイコンタクトを投げかけ、ハッピーな展開となり、チークでも一緒に踊れるんじゃないかと言う雰囲気。いつもの渡辺流ベットの流れなら、イメージの世界に没頭し、ひたすら陶酔的な演技を繰り広げているところだ。

しかし、ベット後半戦はブラスセクションのパァ〜 プゥ〜♪ と言う吸い込まれるようなイントロが鳴り響く中、ややハッピーなイメージの曲からは一段曲調を変え、再び集中力を掻き立てる調子に戻り、渡辺流ベットの極意へと突入して行くのだった。

ライティングも気持ちを引き締め、気合を入れなおす。渡辺理緒は心の中から込み上げてくるかのような熱い想いを全身で表現する。特に顔の表情がとても楽しめる場面である。どこからともなく吹いて来るオアシスの風が、渡辺理緒の長い髪を軽やかに揺らし、そのくすぐるような風を楽しむ様に、微笑をこぼすがキュン ! と何かを感じ眉を寄せ、眼を細めてエクスタシーのフェイスランゲージになる。と、その次の瞬間 ! BGM のブレイクに合わせて、息をつかせる時を与えず「決め」のポーズの連続技 ! 極めつけは前後開脚の左足、膝折固めでのけぞり、頭後部靴底付けで両腕を頭上へと高く上げ、ひときわ大きな拍手を呼ぶ。

そしてそのポーズを崩し、仰向けに寝そべった状態からの手をつかないブリッジでぐっと立ち上がりながら、一度エアポケットに落ちるが如く、ストーン ! と上体を落とし、そこから更にブリッジを続けて完全にスタンディングになり、さわやかでまぶしい笑顔を咲かせる渡辺流ブリッジを披露して、メインステージへと戻って行く・・・

この場面では応援隊のリボンさんもうっとりとしてリボンを投げ忘れてしまうと言う、一番の盛り上がりを見せた。




[ INDEX ] [ 観劇日記 ]