もずのわくわく劇場日記 No.44


2002年 6月 9日 (日) 新宿ニューアート

「SNAシリーズ Vol.5 」

「花嫁」  〜 渡辺理緒 嬢のステージより・再編集版 〜


鉄琴のソロメロディーが、SNA のラウドネススピーカーから流れ出る。
このオープニングの曲は、これから展開される物語のすべてを暗示している
テーマ曲と言えるかも知れない・・・

[第一景・花嫁]

渡辺理緒はステージに現れた。唐突に生命を与えられた照明が、まぶしく目を
幻惑させる。一度瞬きをして再びステージを見ると、その中ですでに渡辺理緒
は純白のウエディングドレスで身を包み、上手へ体を向け前から後ろへ円を描
くようにして、腕を交互に回していた。

インパクトのあるビジュアル。 軽快な BGM 。 渡辺理緒の笑顔・・・

純白のウエディングドレス。黄色い大きなライトのハレーション。
うっ ! 思わず息を飲む観客達。渡辺理緒は白い手袋のヒジを折り曲げつつ、
クイッカブルなアクションで BGM のリズムにシンクロさせながらモーション
& FIX の断続的なステップ。 追従して行くタンバリンのリズム。

ウエディングドレスのスカートを、レースの白い手袋の手でつまみ上げ、長い
スソを軽快に足でさばいて花嫁の幸福の情景を表現している。

ウキウキ・ワクワクとした流れのシーンで、やがて渡辺理緒は真っ赤な絨毯の
ヴァージンロードを進むようなイメージを与えながら、正面を真っ直ぐ向いた
まま盆へと歩み出る。まるで花嫁を真ん中に据えて、観客達が輪になりながら
手拍子を打ち、花嫁を祝福してるように見える。今まさに花嫁は幸せの絶頂で
あり、そしてその光景を見ている観客達も同じ思いで実にハッピーな場面だ。
渡辺理緒は盆の上で胸いっぱいの笑顔を浮かべながら、短いポーズを取って
第一景のエンドとなる。


[第2景・黒い影]

わずかばかりの間を置いて、渡辺理緒の顔が不意に曇る。
ミステリアスな女のソプラノが、不穏な空気を場内に漂わせる。
舞台の流れが一転する。渡辺理緒は両手を頬に当て、驚きと不安の表情になる
身悶えるようにして盆から舞台へと戻って行く。

そのままカミテのソデ辺りで、真っ白いレースの手袋とヴェールを、振り払う
ように取り去り、背中を向けてウエディングドレスのジッパーを手早く引き下
ろし、足元にドレスを落とす。そしてそのドレスの中から抜け出る感じでドレ
スをかたずける。するとドレスの下には、あらかじめ黒いスパンコールの衣装
を着ていた。靴もエナメルの黒。

用意されていた黒いイスの上からエナメルの首輪を手に取り巻きつける。
一呼吸、間をあけて次の BGM が流れ出した。力強い BEET のハードな曲。
渡辺理緒は舞台に踊り出して行く。 ターンとハイキックをフューチャーした
構成で、両手を肩の高さでまっすぐ伸ばし、鮮烈なハイキックは蹴り上げると
軽々と足が頬についてしまう。アグレッシヴかつ、スピード感のある渡辺理緒
お得意の絶妙なダンスを存分に楽しめるシーンである。

渡辺理緒はクールなダンスパフォーマンスシーンを踊り終えると、再び舞台の
黒いイスの所へ行き、混沌とした BGM の中で衣装を脱ぐ。
そして頭上に束ねていた髪をほどき、黒いエナメルのトップとアンダーの衣装
に網のストッキング、ヒザ上まである編み上げのエナメルのロングブーツ。
そして、右の手首にレザーベルトタイプの手錠と言う出で立ちになった。


[第3景・拘束]

イスを舞台の中央へ持ち出し、ロケーションが変わる。
黒いイスに正面を向いて座ると、ヒザを曲げたまま両足を大きく広げ、腕を後
手に縛られた様に回し、腰のあたりに隠すようにした。
いや ! 何者かに強制的に拘束されたと言う事なのだろう。

捕われの身となった渡辺理緒の、黒いエナメルの編み上げロングブーツが足を
締め上げているように目に映る。照明の光を反射して、艶を放っている。
その身をイスに拘束された渡辺理緒は、顔を右へ左へと揺さぶり、締め付けら
れている手錠を、力まかせに引き抜こうとささやかな抵抗を試みるのだが・・
イスに拘束された身体は動けない。

すると渡辺理緒の両足はゆっくりと V 字型に天井へと向けて引き上げられて
行く。目に見えない鎖に引き絞られ、強制的に吊り上げられて行く感じだ。

渡辺理緒の髪が振り乱れてバサリと顔にかぶる。危機迫る演技に場内は、手で
口を塞がれたように押し黙ったまま、ステージ上の渡辺理緒を凝視している。
イスの上でエナメルのロングブーツは、V 字状態からゆっくりとその形を戻し
渡辺理緒はイスから立ち上がるとそのイスを後ろへ回り込みながら、長い足で
イスの背もたれを右足を真っ直ぐ伸ばしてハイキックをする要領でかわす ! 

必死で抵抗するような素振りのダンスパフォーマンス。盆へ出て来てからも、
ヒザ立ちになって、狂おしい程の演技、体をねじり、宙を叩くように刺す様に
その身の自由を取り戻すべく、繰り返し繰り返し抵抗を試みるがそこには非情
の現実が立ちはだかるだけだった。


[第4景・現実]

いらだちをあからさまにして舞台へと戻る。そしてイスの前へ、床へと倒れ込
むと、渡辺理緒はゆっくりと転がりながら花道から盆へと向かう。
盆の上へたどり着き、怒りと深い悲しみの交錯する視線で、手錠をかけられた
両手首を胸の前から頭上へと上げ、切なく見上げる。

絶望の淵に落ち、悲しみに暮れた渡辺理緒はもう一度手錠を左右に引き千切る
様にするものの、頑丈な手錠はそれをあざ笑うかの様にびくともしなかった。
絶望の果て、渡辺理緒は倒れ込みながら、後ろへ左足を蹴り上げてポーズ。
ガクッ ! 伸びた足のヒザを折り、そこへ四方から真っ赤なリボンが行く筋も
投げかけられ、フワリと渡辺理緒の体に舞い降りる・・・

この時の真っ赤なリボンは、この出し物のイメージから「血の赤」をイメージ
してリボンさん達がリボンさん達なりに演出しているのもである・・・
盛大な拍手が湧き上がる。そして倒れ込んで仰向けになっている渡辺理緒の腰
が浮き上がり始めると、引き絞った弓のような、しなやかなブリッジ !
床に広がっていた渡辺理緒の髪が、スッ! と吸い上げられて行き、ひと所へ
まとまる。

もちろん渡辺理緒の両手は手錠でつながれたままであり、このブリッジそして
立ち上がりは全く床に手を着かないままだ。このしなやかさは圧巻 ! 筆舌に
尽くしがたき「美」がそこにはあった。まさにニューアート、芸術的な輝きと
しか表現しえない。

力なく痛々しい程の渡辺理緒は舞台へと戻って行く。その先には黒いイスが待
っている。イスにたどり着くと、ゆっくりと正面を向いて座り、座った状態で
大きく両足を開くと、手錠をかけられている両手が、再び頭上へと引き上げ
られ、悪夢は再び繰り返されると言ったシチュエーションで BGM が終わり、
照明が消えてショーは余韻を残して終わった。
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●本日の香盤 

1.倉西めぐみ 2.EVA 3.渡辺理緒 4.加納藺 
5.冴嶋みどり 6.ヨーコ 7.葉山小姫 8.フィナーレ



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