もずのわくわく劇場日記 No.47


2002年 6月 14日 (金) 新宿ニューアート

「SNAシリーズ Vol.8 」

「シンデレラ even if・・・ そのU」

 〜 葉山小姫 嬢のステージより・イメージストーリー 編 〜


[ 横浜の夜景] つづき・・・(前回分から読みたい人はここ)


日の暮れかけた海沿いの道を、ベンツは滑るように快適に走り続けていた。
サキは何故かおとなしく、彼の運転するベンツのナビゲーターズシートに
チョコンと座っている。

窓を全開に開け、海の香りのする風を頬に受けながら、サキは夕日に光る
風景を恍惚と眺めている。サキの柔らかくて真っ直ぐな髪が風に揺れてる。

「ん ? サキ ? どうしたんだ ? 車に酔ったのか ?」

彼はサキの事を気遣うような口調で言う。
サキは窓の外を眺めたまま、彼の方には振り向かずに言った。

「ねぇ ? CDある ? 平井賢のあの曲・・・聞きたいの、かけてよ。」

「うん、あるよ。」

彼はサキに短く答えた。そしてサキのリクエストしたCDをカーステレオに
押し込んだ。スピーカーからイントロが静かに流れ出す。even if ・・・
言葉の無い車中に平井賢の甘く切ない歌声だけが、ゆったりと二人を包み
込んでいる。

「いいなァ〜 平井賢・・・」

サキは相変わらず窓の外を眺めたまま、ぽつりとつぶやく。ベンツは夕日に
染まる道を湾岸に沿うように走り続けた。まるで二人の乗ったベンツだけが
夢の中へと走って行くようだ。

彼は耳で平井賢の曲の歌詞を追い、年甲斐もなく、やんちゃで、元気良くて
おっちょこちょいで、泣き虫で、怖がりなくせして鼻っ柱だけは強いサキの
事を考えていた。こいつはオレがいなくなったら、どんな事になっちまうのか
一人でやって行けるのか・・・

彼は子供みたいに体をねじって、窓の外を眺めているサキの小さな背中を
見た。風になびくサキの髪が何故か自分の鼻をくすぐったような気がして
大きなくしゃみをした。

「寒い ? 窓閉めようか ? 」

サキが目を丸くして、驚いたように彼を振り返りそう言った。

「誰かがオレの悪口言ってやがる。見つけたらただじゃ済ませないぜ♪」

「ええっ ?」サキが笑った。安っぽいやくざ映画出てくるセリフみたいだと
顔を歪めて子供のように、何の屈託も無い笑い顔に、彼は苦笑した。そして
サキの事を切なく見つめた。

サキは続けて彼に言う。

「誰が悪口言うの ? ただでは済ませないって、どうするの ? 」

彼はおどけながらニ枚目を演じるように、安っぽい演技でサキに答える。

「みんな悪口をいうさ。サキみたいな美人をこれ見よがしに連れて歩けば
 ねたみ・嫉みだな 。 そう言う奴らにはだ、金○ま蹴り上げて、苦し
 んでいる所を一本背負い ! ボコボコにしたら、札と名刺をバラまいて
 オレに用があったらいつでも訪ねて来な ! ってカッコ良く言う。」

サキは可笑しくてたまらないと言う様にバタバタしながら笑い転げた。

「何がそんなに可笑しい ? マジだぜ。」

「だってぇ〜、安っぽい演技力なんだもん。お金も無いのにお札バラまく
 って ? あははっ♪ 鼻息だけは荒いんだねぇ〜。」

彼は不意に言い出しそうになった言葉を飲み込んだ。サキはまだ何も知ら
ない・・・胸が痛んだ。しかし、今はまだそれを、その訳を言えない・・
彼はそんな自分の胸の内をサキに見透かされたくなくて、大げさに言う。

「あぁーっ ! ドレスのヒモが切れかかってるぞ ! 」

そう言われたサキは驚いて、あわてながらクレジットで新調したドレスを
あちこちと調べ出す。彼は心で苦笑しながらも、とぼけてサキに言う。

「冗談だよっ♪」

「えぇーっ ? 良かった・・・」

サキは半ベソをかいてうつむいた。彼はサキの意外な反応にあわてた。

「サキ ? どうしたんだ ? オレ何か悪い事言ったのか ?」

サキは今にも泣き出しそうになりながら彼に言った。

「これクレジットで今日のために、無理して買ったの・・・
 あなたの前では、どこの誰にも負けないくらい、いい女でいたいから
 あなたのためにも、あたしのためにも、とても大切なドレスなの・・・」

彼は胸を詰まらせた。何も言葉が出てこなかった・・・
平井賢のCDはまた最初の曲へと戻っていた。しかし、その事にはサキも
彼も気が付かず、彼は黙ったままハンドルだけを握りしめている。
夕日はすでに水平線に沈み、ベンツは宵闇の国道を静かに走り続けた。


またまたここで次回へ続くぅ〜♪ (^。^)V

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●もずさんより

このイメージストーリーは、葉山小姫 嬢の出し物より、ダンスパートが終わ
って、ベットに入った所のシーンから、もずさんがイメージを膨らませて書
いているものであり、実際の人物・ロケーション・ましてや葉山さんの話を
書いている訳ではありません。葉山小姫さんのベットがすごく良かったので
もずさんが勝手な妄想を書いているだけの事です。あしからず・・・



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