もずのわくわく劇場日記 No.51


2002年 6月 14日 (金) 新宿ニューアート

「SNAシリーズ Vol.12 」

「シンデレラ even if・・・ そのX」

 〜 葉山小姫 嬢のステージより・イメージストーリー 編 〜


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[ 第五話 Hotel Blue 2]


「サキ、とっても大事な話があると言っていたのを覚えてる ? 
 俺、このまま平凡なサラリーマンで一生を終りたくないんだ。
 なんて言うか、今のままだと自分の将来が見えてしまう・・・
 これで良いのか ? このままサラリーマンとして平凡に終って
 しまう人生って、納得出来る生き方と言えるのかって・・・

 漠然と考えていたんだ。そんな時、俺はある女に出会った。そして、
 その女について色々知る度に、その女は俺の平凡な人生を転換する
 のに役に立つ事が分かった。ただ者じゃないんだ。俺はその事を知っ
 てから、その女に近づいた。女は俺が描いたシナリオに沿って動いて
 くれた。

 政界・財界、あらゆるVIPに顔の効く女だ。いや、ある意味その
 女は、VIP達を裏から動かしていると言っても過言じゃない。
 俺は胸に男としての野望を持った。ビッグになるんだ !
 きっとうまく行く。実現出来る可能性はある。」

黙って聞いていたサキは強い語気で彼の話をさえぎった。

「あんたバカじゃないの ? そんな事本気で考えてるの ? 
 笑っちゃうね ! 笑っちゃうよ ! 野望だか何だか知らないけどさ !
 そんなドラマみたいな話。バカげてる ! そんなすごい女ならさ、
 あんたみたいな世間知らずな坊やなんかの相手するはず無いし、
 退屈しのぎに気まぐれなゲームを楽しんでいるだけだよ ! 

 第一、そんなバカげた話の為にあたしを捨てるつもりなの ! 
 今までの事って、一体なんだったの ! 結局、あたしの事が邪魔に
 なったって事かぁ。そう言う訳なんだ ! それであたしと別れるの
 について良い思い出を・・って、何もかも無茶苦茶な話じゃない !
 あんたはね、だましているつもりだろうけど、だまされているのは
 あんたの方なんだよっ ! 」

一気にサキにまくしたてられて、彼は苦笑しながらも話の先を続けた。

「サキの事は誰よりも一番愛してる。今日の事もそんな都合の良い話
 なんかじゃない。サキとの約束を守りたかっただけさ。
 それに、サキの事が邪魔になったんじゃない。今の俺にサキの恋人と
 しての資格はもうないんだ。俺の抱いた野望の為にお前の事を・・・
 サキの事を裏切ったんだから・・・」

「そんなの自分勝手 ! 勝手だよ ! あたしはどうなるのよ、何にも
 知らないうちにこんな事になって・・・ビッグになるって ? 
 そりゃおめでとう。でもあなたには分からないの ?
 もしもよ、もしもあなたの描いたシナリオの通りに事が運んだとして
 ビッグ ? になれたとして ? それを誰が喜んでくれるの ? 誰と
 一緒にその喜びを分かち合えるの ? その女の事を愛してる訳じゃ
 無いんでしょ ? 」

「サキ ! 何も言わないでくれ・・・ もう後戻りは出来ないんだ。
 12時になったらあいつから連絡が来る。すべてはもう動き出している
 んだ。」

そして彼のロレックスの針が重なり合い、午前12時を指した。
その時、彼のセカンドバッグの中で、携帯電話の着信音がこもるように
鳴った。彼はサキから視線を外し、セカンドバッグに目をやった。
すると、その着信音は途切れた。

二人にはしばらく無言のまま、ささくれた空白の時間があった。
再びセカンドバッグから彼を呼び出す着信音が鳴る。

サキは「出ないで ! 出ちゃダメ !」 そう叫ぶ。
彼がその電話に出た瞬間に、今まで大切につむいで来た、二人をつなぐ
「糸」が音をたてて切れてしまう。それが現実となってしまうからだ。

しかし彼は、セカンドバッグを開いてしまう。着信音がひときわ大きく、
そしてサキの心に鋭い刃をしたナイフを突き立てるように響く・・・

彼は取り出した携帯電話を持って部屋の隅に移動し、サキに背中を向けて
通話ボタンを押した。彼の声だけがサキの耳に否応なしに聞こえて来る。
サキは目を硬くつむり、両手で耳をふさいだ。

「どう ? 話はついたのかしら・・・ふふふ・・・とても手間取っている
 ようね。名残惜しい ? それとも迷ってるのかしら ? フフフフ・・・
 あなたの明日の扉を開く「鍵」を握っているのは誰かしら ?
 私のベンツを自由にさせているのは何のためだと思うの ?
 分かっているわね、坊や。」

携帯電話の声は、その女の声だった。
そしてその女の声は体温を感じさせない、低い冷静な声でそれだけ言うと、
手短に電話を切った。「あぁ、分ってるよマダム・・・」
そう答えると彼もボタンを押し、電話をきった。

重苦しい空気に包まれた部屋の中には、ベッドの隅で両手で耳をふさぎ、
身を硬くしているサキと、彼の二人だけ。彼は携帯電話をバッグに押し込み
サキに途切れ途切れに言った。

「サキ・・・こんなオレの事・・・愛してくれてありがとう・・・
 明日、チェックアウトする時には迎えに来るよ。そして君を無事、家に
 送り届けたら・・・ 僕たちのドラマは・・・終わりになる・・・
 きっと君には僕なんかより、もっとずっと素敵な共演者が現れるだろう
 その時は・・・ きっとハッピーエンドのドラマ・・・演じておくれ。
 サキのドレス姿、とってもきれいだよ・・・」

彼はそう言うと、サキを一人部屋に残したまま出て行った。
サキは大きなベッドの上で独りぼっちになった。
まだ耳をふさいだまま、じっとして動かない。
何も動かない部屋の中には、彼と一緒につむいだ「糸」が引きちぎられ、
無残に散らばっているだけだった・・・


次回へ続くぅ〜♪ (ToT)

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●もずさんより

このイメージストーリーは、葉山小姫 嬢の出し物より、ダンスパートが終わ
って、ベットに入った所のシーンから、もずさんがイメージを膨らませて書
いているものであり、実際の人物・ロケーション・ましてや葉山さんの話を
書いている訳ではありません。葉山小姫さんのベットがすごく良かったので
もずさんが勝手な妄想を書いているだけの事です。あしからず・・・




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