もずのわくわく劇場日記 No.52


2002年 6月 14日 (金) 新宿ニューアート

「SNAシリーズ Vol.13 」

「シンデレラ even if・・・ そのY」

 〜 葉山小姫 嬢のステージより・イメージストーリー 編 〜


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[ 第六話 モノローグ ]


「ごめん ! いま仕事中で忙しいんだ、またこっちからかけ直すよ。」

「あたし、いつもヒマなのっ ! 朝も昼も夜も、ずっとヒマ ! 」

「俺のって、これ買ったの ? いつ ? あたしにだけは正直に言ってよ。」

「まぁいいじゃないかそんな事。シンデレラを王子様が迎えに来たんだか
 ら、ツベコベ言わずに乗った ! 乗った♪」


サキの頭の中で今までの彼との会話と情景が、フラッシュバックしていた。
彼の事を恨んだり、憤りを感じたりする気持ちはもちろんある。
しかし、そんな事以上に彼への正直な気持ちは、まぶしいほどに大きな想い
として、サキの胸の中に広がっている。

心が重たい・・・悲しみの湖底に深く深く沈みこんで、このまま永遠の眠り
についてしまいたい。あの人へのあたしの愛は、本当に裏切られてしまった
のだろうか。何もかもすべて終わってしまったのだろうか・・・

サキは様々な感情と理性とが激しく交錯する中で、彼がこの部屋を出て行く
時、ドアを閉めた物音に、二人大切につむいだ「糸」の細さを切なく感じて
いた。たとへ二人の愛の糸は細くても、彼の糸を縦糸に、サキの糸を横糸に
織って行けば、やがて美しい錦の織物がつむげるはずなのだ。

サキは重い体を引きずるようにして這いながら、ついさっきまで彼が座って
いたイスへと向かう。彼を抱きしめるようにイスに手を回し、抱きしめる。
そのイスは彼の体のように温かくは無かった。硬い木の感触はサキを切なく
したが、ほんのわずかでも彼の温もりがありはしないかと、サキは手のひら
を広げ、イスの背もたれや座面に彼の残像を探すように撫でまわした。

そして、テーブルを見るとそこには彼が忘れて行ったマルボロの箱がポツリ
と残されていた。サキはその箱を手に取り開けてみる。彼はそれほどタバコ
を吸う人ではない。それなのに箱の中には3本程のシガレットが残っている
だけだった・・・

今にして思えば彼は、今日のデートが始まる前からラストシーンを見ていた
はずだ。彼は今もサキの事が一番好きだと言っていた。
しかし自ら抱いた野望を成し遂げるために、あえてサキとのラブストーリー
の幕を引くと言った。

マダムと呼ばれる女を踏み台にしてビッグになるんだと言っていた。
サキはひどく胸が痛んだ。男なら誰でも一度くらいはそんな夢を胸に抱くの
は当然の事だろう。彼には目の前にチャンスがあった。勿論彼は自分勝手だ
しかし、サキはそんな彼の事を理解して、引き止めたのだろうか・・・

サキが彼の事を引き止めた理由は、彼との事を終わらせたく無い、それと、
自分が捨てられたく無いと言う感情的なものではなかっただろうか。
サキもまた彼の恋人としての資格を問われれば、果たして彼のした事を一方
的に責められるのだろうか。

自分が愛した人、自分を愛してくれた人なら、なおさら彼の事を深く理解し
た上で、命がけで引き止めるべきだったのではないか、一時の子供じみた
感情的な気持で、無責任に言い放つべきではなかったのではないか。
今頃になってそんな後悔にさいなまれた。

サキは彼の残して行ったマルボロを一本、箱から引き抜いて火をつけてみる
煙がノドにきつく染みる。彼の苦渋の決断を感じさせた。
たまらなく胸が熱い。

うぅ・・・サキの身を切るような嗚咽(おえつ)が聞こえた。愛してる・・・
愛しているのに・・・ 六月の雨がしとしとと降るように、サキの目には
途切れる事の無い雫が流れて落ちた。サキは彼の言ったセリフをまた思い
出す。

「シンデレラを王子様が迎えに来たんだから・・・」

ドレスのスソからのぞいている自分の足を見ると、両足に銀の靴をしっかり
と履いていた。それをじっと見つめながらサキはつぶやいた。

「これじゃ、シンデレラにもなれやしない ! 」

右足に履いていた靴を両手でヒステリックに脱がし、それを部屋のドアへ
向かって、思い切り投げつけた。鈍い音を立ててその靴はドアに当たり、
床に転がった。サキは頬をつたう涙の雫に苛立ち、バスルームに這って行
くと、ドレスを脱ぎ捨て熱いシャワーを頭から浴びた。そしてバスルーム
の床にへたり込んだ。そんなサキをシャワーが強く叩く。

サキは止め処も無く声を上げて泣いた。いつまでも泣き続けていた・・・


あともうちょっと。次回へ続くぅ〜♪ (ToT)

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●もずさんより

このイメージストーリーは、葉山小姫 嬢の出し物より、ダンスパートが終わ
って、ベットに入った所のシーンから、もずさんがイメージを膨らませて書
いているものであり、実際の人物・ロケーション・ましてや葉山さんの話を
書いている訳ではありません。葉山小姫さんのベットがすごく良かったので
もずさんが勝手な妄想を書いているだけの事です。あしからず・・・




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