もずのわくわく劇場日記 No.62


2002年 12月 1日 (日) 渋谷・道頓堀劇場

「 雪女 編 」


さぁ、前編を読んで元々の「雪女」のあらすじは分りましたね。
えっ ? 違う ? そんな話じゃぁ無い ? 
「もずのBBS」でこんな事を書いている御人がおりますが・・・(爆♪)

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日付:12月9日(月) 16時32分
名前:ばっち
E-mail:
題名:Re: 雪女
内容:つ〜かさぁ....
かなりフィクションぢゃん!(爆)

若者が嫁にするのは、とうの雪女その人だよっ!
誰にも話さない約束をしてその場は見逃して貰ったの。
で、人間の娘として人里に下りてきた雪女は若者と結ばれるんだよ。
数年後、二人の間に子供も生まれ幸せに暮らしていたとき、若者は、
もう時効だと思って女房に昔の経験を話し出したわけ。
でも、話した相手は当然雪女本人な訳で......
雪女は、約束を破った若者を凍え死にさせようとしたけど、二人の
愛の結晶を独りぼっちにするのが忍びなく、この子を若者に託し、
自分は山へと去って行ったのさ.....

悲しいお話だねぇ....(ToT)

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それでは果たして道劇の「雪女」のストーリーがどのようになっていたか、語りべ
「もずさん」がじっくりと語ってしんぜましょう。楽しみですねぇ〜♪

坊やぁ〜 良い子じゃ寝んねしなぁ〜♪ 今も昔も変わりなくぅ〜

むかぁ〜し、むかしの事じゃったぁ・・・
人里離れた雪深い山の中、積もった雪のために辺りはほのかに明るいが、吹雪のために視界は悪く、ひゅーひゅーと言う凍てつく風のうなり声だけが聞こえるそんな夜。

静かに静かに暗転している舞台に照明の灯りが灯る。山の木々がざわめくように拍手が響く。舞台のバックスクリーンに、キラキラと光をはねるいくつもの小さな鏡が、すだれのように縦糸に真っ直ぐ下がる。その前に立つ人の影。背の高い細身の女のようだ。そのシルエットは薄暗い空間に音もなく、こつ然と浮かび上がる清楚な淑女と言う雰囲気である。

髪をタイトに結い上げ、白い羽のカチューシャでまとめている。そしてヴェールのマントを広げて手に持ち、白い羽で縁取りされた軽やかさで身を隠している。薄く透けたマントから見える姿は、フリルのスカートのスソがボトムからトップへと、ボディーを巻き上がって行くようにして、アクティヴなアクションを演出する作りとなっている。

銀のハイヒールが忙しく動き始め、いずこともなく現れたそのシルエットは、姫神のメロディーが流れ出す中、素肌の腕を伸びやかに泳がせる。手先を遠くへ遠くへと、大きなアクションで伸ばしては、風の渦が雪原を自由に吹きまわるように、舞台の上をあわただしく移動している。バレリーナを思わせるそのアクションは、あくまでも美しく、そして上品に。心が何処を映しているのやら計り知れない黒く透き通る瞳が、摩周湖の水面を彷彿させてくれる。

「雪女」若しくは「雪女郎」と広く一般に言い伝わるそれとは、ニュアンスが微妙に感覚的に違うかも知れない。日本的な妙に湿気のある「雪女」と言うよりも、もっとドライなキャラに仕上がっているようだ。西野さゆき演じる所の「雪女」は昔話に言い伝えられるイメージを払拭させる表現力で、踊り子・西野さゆき自身の持つミステリアスな魅力を、フューチャーした雪の精霊と表現した方が、的を得ているのではないだろうか。

そんなしなりの効いた全身のダンスパフォーマンスで、盆に進み出ている時に、背景ではカミテより一歩一歩雪の大地を踏みしめるような足の運びで、舞台中央へ向かって歩む童女の姿があった。黄色の絣一枚に朱に近い赤の帯を巻き、足のスネが見える短い着物と、おかっぱ頭、小柄な容姿からそれは判別される。こんな夜更けに、しかも独りで ? 

舞台では雪原を心細くさまよい歩く、高汐花歩の演じる童女の姿が、憐憫(れんびん)の情を誘う。「おかぁ〜さぁ〜ん !」 雪女の支配する吹雪が吹き荒れる雪原、凍える小さな両手で肩を抱き、必死に童女はやって来た。童女の心中いかばかりなものか。雪女は凍てつく風の音にかき消されるような、かすかな童女の声を耳にした。

その声に雪女の頭の中をいくつもの場面が駆け巡る。胸を締め付ける。聞こえぬ振りをして山の奥深く消え去ってしまおうかと思う。がしかし ! 童女の声がいつ間でも耳に残り、立ち止まる。雪女は身をひるがえし、童女の声が聞こえた所へと飛んでゆく。
見えた ! 吹雪の雪原で一人凍えながらうずくまる童女の姿があった。

雪女(西野さゆき) はいつもにも増して、強く吹雪を童女 (高汐花歩) に向かって吹き付けた。どうしてここまで幼い子に非常な仕打ちをするのだ、と言う思いが脳裏をよぎる。その時であった。「おかぁ〜さん !」童女は舞い降りて来た雪女に叫びかける。そして
雪女のヴェールのマントを、凍えた小さな両手でつかみかける。

一瞬ひるむ雪女は力づくでその手を離しなさい ! とマントを引き寄せる。
童女は「うぅ !」と低くうめくが、手を離さずに必死で食い下がる。雪女は童女に向かってこう言った。

「娘よ、ここはお前の来るような所では無い。早くお父様の所へ、里へお帰り !」

娘は訴えかける目で母の雪女に返す。

「一人では帰れん ! お母さんも一緒に、一緒に家へ帰ろうーっ !」

雪女の心は揺らいだ。だが、ウチの人は私との約束を破ってしまった。あの話さえあの人が口にしなければ、今でも親子三人幸せな暮らしが続いていただろうに。しかし、雪の国の掟は曲げられない。いと悲しき事なれど、今となってはもはやどうにもならない。

マントのやり取りを幾度か繰り返すも、ついに力尽きた童女の手が離れて倒れこんだ。童女が必死にマントに食い下がったのは、決して雪女への抵抗などではなかったのだ。母の居所を父から聞き、たった一人ぼっちで母恋しさに父の目を盗んで吹雪の雪原に迷い込んだのだった。
(舞台上ではセリフは無く、あくまでもダンスパフォーマンスのみでここを表現していた。安直にセリフを使わず、ダンスで表現した所が普通の芝居と違う所。ストーリーが見えてないお客には、何をしているのか良く分らなかったかも知れないが、私的にはこれで良いと思う。)

マントを取り返した雪女は、再びそれを振りかざして倒れた童女の様子を伺い、荒々しく童女の上に馬乗りになり、帯をほどき着物の胸の合わせを乱暴に広げた。
(ここの場面は意味不明。何も考えず、ただ「ス」だからこうなるのだろうと思っていいんじゃないか ? ) こぼれ落ちる未熟な白い乳房。間近かで見る娘の気を失った寝顔は、荒振る雪女を穏やかな菩薩に変えた。

雪女は立ち上がり、娘を見下ろす。するとマントをゆっくりと広げ、そっと娘の体にかけた。いたわるように、慈しむように。雪女は娘に背を向けると、音もなくしんしんと降る雪の中に消えた。ひと時、間をあけて童女は目を覚ますと体を起し、自分の体にかけられたマントに気がつき、ギュッ ! とそれを握りしめる。
(何で立ち去ってしまう ? あぁ、場面の切り替えのためね。ちょっと疑問に思った。)

童女は気を失っていた時、夢を見ていた。それは優しい母に抱かれ、思う存分母に甘える夢だった。童女は気を取り戻すと顔を上げ辺りを見回す。が、誰もそこにいない事を知る。しかし、このマントはまぎれもなくあの恋しい母、雪女の物。一人歩きする母への思慕の念。幼い身に持て余した止めども無い想い。童女 (高汐花歩) は立ち上がり、着ていた着物を脱ぎ捨てると、盆へと歩き出す。

せり上がった盆の上で童女・高汐花歩は母のぬくもりが恋しいと、自らの体をまさぐり、切ない自慰を始めるのだった。月あかりが優しく手を差し伸べるように、童女を照らしていた。放心した童女の背景、舞台に黒い影がかすかに浮き上がる。それは次第に大きく映し出され、ヴェールの幕がすっと上手側へ引き寄せられて、その姿があからさまになる。雪女だった。

娘を雪原に一人残して来た雪女は、娘の事が気になって仕方が無い。もう今頃娘は里へ帰っただろうかと、舞い戻って来たのだった。すると泣き濡れて広い雪原にぽつんと、ヒザをかかえて座り込んでいる娘の姿を見つけた。雪女は切なくなって娘に手を差し伸べる。気配に気が付いた娘は振り返り、母の姿を見出すと、一目散に母の元へと走り出す。雪女は一歩、二歩と歩き出す。二人の距離がちぢまって行く。

そしてその距離が完全に無くなった瞬間、二人はきつく抱きしめ合い、親と子の絆を確かめ合うのだった。すると・・・きつく抱きしめ合った母の腕の中で、娘の体が急に重くなった。はっ ! 母は娘を支える。娘の腕がだらりと力を失う。母の体に娘はもたれかかるように、そしてすべり落ちるようにして、娘は真っ白き雪の大地に倒れ込だ。母は何が起きたのか分らないまま、その場に立ち尽くす。

娘は過酷な吹雪の中で凍え、泣き、母を探してここまで来た。そしてやっとの事で母に会えたその安堵で、命のともし火を燃やし尽くしたのだった。雪女はその事を悟り、傷つき、悲嘆に暮れる。娘は安らかな顔でまるで静かに眠っているかのようだった。雪女はしばしたたずみ、そして力無く歩き盆に向かう。雪女である私は、やはり人の母親にはなれない。ホンの一時、心に芽生えた温かなものが、再び冷え込んで行くのを止められなかった。取り乱す事は無かったが、雪女として背負っている運命の無情を感じていた。そんなジレンマを表現するようなベットを西野さゆきは演じる。

母はまた雪女としての道を歩み出す。雪に埋もれた荒涼とした雪原に吹雪を呼び寄せ、迷いを断ち切るように娘のなきがらを葬ると、凍てついた山中の何処かへと姿を消して行くのだった。


いかがじゃったかな、渋谷に現れたもう一つの「雪女」の物語は ?
ウホホホホ・・・ 今回の渋谷道劇ストリップ芝居「雪女」はなぁ、
ちまたに伝わる昔話「雪女」のその先、続きを脚本に仕上げて昔話
「雪女」の完結編を創作したものであったのじゃ。
中々凝っているとは思わんか ? ウホホホホ・・・ 
毎度の事ながら興味深い作品じゃのぅ。

それにしてもだ。道劇の踊り子さん達の踊り、演技力、企画、プロ
デュース。見るたびにわくわくするじゃろ ?
お客冥利に尽きるとは、あぁ〜 この事じゃろね。

「蛇足」

フィナーレで客席に降りて来た西野さゆきさんと握手しながら
「お名前はなんと言うのですか ? とても良いショーでしたよ。」
と話しかけると、何と言ったと思うね ?

「西野さゆきと申します。ご満足頂けましたか ? また来て下さいね♪」

ほ〜れ、しっかりしておるじゃろ ? 眼がとてもキレイな人じゃった♪
西野さゆき、お前さんもこの人の名前、覚えて置くとよろしかろう。

あぁ、だいぶ話が長くなったようじゃな。ではこの辺りでお開きと
しようかな。では帰り道、足元に気をつけてな。またな。

坊やぁ〜 良い子じゃ 寝んねしなぁ〜 ♪ 





[ 本日の香盤 ]

1.あさくられみ 2.富田未来 3.藤沢あき 4.朝川留衣 5.愛田桃子 6.琴葉鈴 7.黒木純
8.チームショー「雪女・西野さゆき、高汐花歩」9.フィナーレショー



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