もずのわくわく"遠征"劇場日記 No.78-1


2003年 8月 17日(日) ニュー道後ミュージックシリーズ No.1

「うどん 編 」


うまいうどんの店を是非とももずさんに紹介したい ! 

彼は熱い想いを胸に、愛車のステアリングを握りしめ、走り出していた。
彼は事前にもずさんの生態を図鑑で調べ、完璧な計画を立ててシュミレーションをしていたのだ。キキーッ ! タイヤは悲鳴を上げて急停車した。「ふぅ〜... ここまでの誤差わずかにコンマ0.5秒。完璧だ。」

彼はガチャリと音を立てて車のドアを開けると、車高の高さを意識せずにシートから降りた。
ごきっ ! 完璧な計算にわずかな歪みが生じていたのか、右の足首から鈍い物音がし、うっ ! こめかみから冷たい汗の流れ落ちるのを感じた彼が最初にとった行動は、足首をさする事ではなく、何食わぬ顔で周囲を見回す事だった。この行動はサバイバルマニュアルの12ページにイラスト入りで解説されている。

■ 車を降りる時にもし足首をひねった場合の処置

 敵に自分の弱点を悟られてはならない。万が一このような状況に陥った場合は、あわてずに
 周囲の状況を確認し、落ち着いて危険回避の策を講じ、任務に当たれ。

彼はまじめな男である。敵に自分の弱点をさらけ出す事無く、平静を装い、周囲の状況を見渡すと共に、敵の攻撃から身を守るために、ふところに忍ばせてある護身用の拳銃にそっと手をあてがい、安全を確認したのち、ゆっくりとその場にしゃがみ込み、靴のヒモを直す振りをして「痛て〜っ !」と涙をにじませた。

8月17日(SUN) AM11:20 羽田発 JAL 161便は、ほぼ定刻通りに松山空港に着陸した。おりしも世の中は夏休みの真っ最中であり、幼い子供の手を引いた親子連れの姿が目に付く。肌寒かった東京からの観光客は長袖のシャツ、若しくは一重のジャケットを羽織っている者も少なくなかった。しかしこの日の松山は気温32℃、湿度85% と言う真夏の太陽がまぶしく照りつけると言った状況であり、観光客は場違いな服装である事に気づき、あたふたしながら通路の窓から照り返す強い日差しに苦笑しつつ、四国・松山での観光や里帰りに幸せな想いを馳せている。

そんな観光客の中に一人の男が紛れ込んでいた。昨日、かねてから新聞折込の広告を見て、高級腕時計「ROLEX 本日限り \2,000- 」に釣られて、昭島メッセでの即売会に喜び勇んで出かけ、まんまと業者のワナにハマってしまった不運な男... 高級腕時計文字盤には「ROLEX」ではなく、「POLIX」と言うロゴがあった。高級時計の本体裏には、輝かしい生産地の刻印「Made in CHAINA 」と...

その男は明日の道後遠征のためにと、黒の大きめの Dバッグも千円で買い込み、道後遠征に気合を入れていたのだった。しかし... 「POLIX 」とは... だいたい、高級腕時計の王様「ROLEX」を二千円で手に入れようなどと言う、さもしい根性をしているからこう言う事になるのだ。現実の厳しさを思い知ったであろう。

しかし、そんな男はこれっぽっちの反省もなく、「POLIX 」の腕時計を光らせて松山空港の通路を足取りも軽くヒョコヒョコと渡っている。「あち〜なぁ〜 松山は真夏かい ! 長袖のシャツを着てきたのは失敗だったなぁ〜 来る前に玉さんにどんな気候か聞いておけば良かったなぁ... 」すでに手遅れである。

一方その頃、重要な任務を背負った彼は、抵抗勢力の監視の眼をくらませ、密かに松山空港近くに車をスタンバイさせていた。彼は身じろぎ一つせずシートに座り、押し黙ったまま目を閉じ、メディテーションそして、イメージトレーニング。松山の太陽は中天から真っ直ぐ地上に振りそそぎ、無防備に静止しているすべての物質を無遠慮に焼いている。

彼の額から噴出した汗は、その場にとどまる限界に達し、だらだらと重力の法則に従い流れ落ちている。しかしそのような事に頓着しない彼は、自らの任務を実直に遂行することのみ。いかに「もずさん」を友好的に出迎え、抵抗勢力の手から守り抜くかと言う一点に神経を注いでいた。果たして「もずさん」とはどのような風貌の人物であるのか、自分の事を友好的に受け入れてくれるだろうか... どうやら彼に大量の汗をかかせているのは、照り付ける松山の太陽のせいだけでは無いようだった。



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