もずのわくわく"遠征"劇場日記 No.78-2


2003年 8月 17日(日) ニュー道後ミュージックシリーズ No.2

「うどん 編・2 」


第二章 「出会い」

彼は炎天下の車中、必要過多なシュミレーションを繰り返し、気を失いかけていた。「まだか ! まだもずさんは来ないのか ! 」さすがに苛立ちを押えきれなくなった彼は、汗で濡れた携帯電話を胸のポケットから取り出し、着信画面をのぞき込む。なんの連絡もまだ入ってない。同様に携帯で時刻を見ると、JAL 161便は到着したはずなのだが...

とその時、沈黙していた携帯電話から着メロが流れ出した。♪桃色の〜 片想〜い〜 恋してる〜 「来た ! 」彼の風貌におよそ似つかわしくない着メロだ。彼は隠れ「仁科ちあきファン」かも知れない...

「はい、そうですか、ご苦労様です。では空港正面にすぐに車を回し、お迎えに参上致し
 ますので、少々お待ち下さい。では... 」

実直かつ礼儀をわきまえた率の無い言葉で、彼はやや緊張しながら電話の応対を済ませ、車のスターターをひねると、彼の愛車は身震いしながら目覚め、エンジンは轟音を立て、ボンネットから揺ら揺らとかげろうを立ち昇らせた。「バッフォロー8000・松山山岳仕様」の原子力エンジン搭載の彼の愛車は、残念ながら東京都では10月1日以降、排気ディバイスを装着しないと走る事は許可されない。しかももし彼が東京都に来訪する場合、ホテル税を強制的に徴収される事になる。これは我々の抵抗勢力の一人、石原都知事の我々に対する弾圧である。(ホントかぁ〜? )

いよいよシュミレーションを重ねていた任務遂行の時がやって来た ! 彼は奥歯を噛み締めながらギヤをローにぶち込み、エンジンをうならせて走り出した。空港の駐車場を回り込み、正面玄関へと突き進む。正面玄関が近づくにつれて彼は冷静ではいられなくなった。緊張と不安と興奮でフロントガラスを透かして見える風景がゆがんで見える。間もなく玄関だ...

「暑ち〜、暑ち〜 ! まったくどないなってんねん、こんな暑くなっとると思わんかったわ。
 かなわんなぁ、よりによってこんな時に長袖のシャツ、どないだ ? 地元らしき人、みんな
 Tシャツやん ! お〜みっともな〜 早よう来てくれへんかな〜 そや、まだ羽田から一服
 もしとらへんさかい、今のうちに禁断の一服といこうかね♪ 」

灰皿を見つけると元気の出るその男は、背負ったDバッグの中からLARK メンソーレーを取り出し、美味そうに一服吸い出したところへ、彼の運転する「バッファロー8000・松山山岳仕様」らしき車がタクシーの間を割って滑り込んで来た。停車するには道路に対して不自然な形で停まっている。

「ほ〜ぅ... どうやらあの車みたいやな。どれ、行ってみるか。」男はつかつかと車に近づいて行くと運転席をのぞき込んだ。すると車の運転席でステアリングを握ったまま、その男をじっと観察するような鋭い視線で凝視してる彼がいた。彼とその男の間に緊張のとばりが降りているかと思いきや、その男はすでに車のドアノブに手を掛けていた。それを見た彼はあわてて「もずさんですか ! 」と第一声を発した時、その男はドアを開けて車に乗り込もうとしている。

「は、初めまして、道後HPの管理人です。」彼のシュミレーションでは車を降りて丁重に出迎え、挨拶をしたのち、そそうの無いように出迎える事になっていた。ところがまだ何もしないうちに車に乗り込もうとしているこの人って一体... 助手席の足元にDバッグを下ろし、「暑ぅ〜 !」と言ったと思ったら、「毎度♪ もず言いますぅ。これ、管理人さんにおみやげ。甘いもん好きかどうかわかりまへんが、東京バナナですぅ。」

「あのぅ... もずさんって関西の方 ? 」と、怪訝に言う彼に「いや、雪乃ちゃんの大阪弁感染しましてこないな事になってますぅ。ではもう一度やり直し。はい♪ 東京からやってまいりましたもずと申します。わざわざお向かえに来てもらってすみませんでした。(^^ゞ 」

「そうですか、ではすぐにうどん屋へ直行します。」あれま、本当にうどん屋に行くらしい。なんと直線的な人なのだろうか。と思って話を聞いていると、管理人さんが言うにはこれから行くうどん屋は、地元では一押しの店だそうで、12時前に入店しないと、ものすごく混み合ってなかなか入れないらしく、すぐに行かないと大変な事になるそうだ。車の少ない道路を快調に管理人さんは飛ばしながら言う。

「クーラー入れましょうか ? 」そう、窓を全開に開けたまま走っていた。管理人さんは続ける。「私はクーラーが苦手なもので、滅多にクーラー入れないんですがね。」ふむ、そう言われてしまうと壕に入っては壕に従えのたとえもあり、必然的に応答の言葉は決まってくる。

「そ〜ですねぇ〜♪ せっかく松山に来たから松山の風を浴びて行きましょうか♪ ん〜やっ
 ぱり天然の風はい〜ですねぇ〜♪ 清々しいなぁ〜♪ (爆♪) 」車は田園地帯に差し掛かり、緑の田んぼにそよぐ稲穂... やはり日本人の原点はここにある ! と心密かに癒されているうちに、管理人さんが「チッ ! 」と舌打ちをする。もずさんがどうしたんですかと聞くと、すでに駐車場が一杯で停める所がないと言う。

ここかぁ〜 例のうどん屋は... まだ新築したばかりと見受けられるその店は店の前と裏に数台停められる駐車場が確保されているのだが、前の駐車場も裏の駐車場もすでに満車になっていた。管理人さんはもずさんに問いかける。「ど〜しますぅ ? 」 はぁ ? どうするって言うか、この店のうどんを食べに来た訳だし、道端でもどこでもとりあえず停めておいて、駐車場の空くのを待てば... うどんを食べにみんな来てると思うので、そのうちどっか空くものと思われるのだが...

何故かあせっている管理人さんにそう言うと、駐車場側の歩道にとりあえず車を停めて、車中でみていると、すぐにうどんを食べ終わったお客さんらしき夫婦が駐車場へ向かって歩いている。「あぁ、ほら、あの人達まもなく車出しそうですよ。」と管理人さんはじっとその夫妻の行く末を見極め、あの車だなと狙いを定めた。もずさんはこの人一体何をするつもりなんだろう ? と見ていたら、管理人さんはエンジンを掛けて駐車場の中へと車を突っ込んで行った。

あれ、まだあの夫妻は車を出していないのに... すると管理人さんはその車の前でハンドルを切り、ななめになって車庫入れ状態に... おぉ ! 何と言うプレッシャーのかけ方だろうか (爆♪) 何と言う直線的な行動を取る方なんだろう。と、感心しながらもずさんは助手席でお気楽に見ていた。ほとんど追い出した形で無事に駐車スペースを確保。今度真似してみようかな... やめとこ♪ だって東京でこれやったら刺されるか、殴られるもんな♪ (爆♪)



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