もずのわくわく劇場日記 No.89


2004年 1月8日(木)

初春・道後シリーズ 第三章

「新春道後遠征記・劇場入り 編」


3時半になったので、ホテル前からチンチン電車に乗った。
ここは松山市内なので、道後温泉まではちょっと距離があるのだ。でもうれしい事に松山と言う所は、交通機関が発達しており、チンチン電車や坊ちゃん電車などが街中を縦横無尽に走っている。チンチン電車はどこまで乗っても一律料金の150円。伊予鉄さま様である。

さて、道路中央のチンチン電車乗り場で5分ほど待ったところ、オレンジ色とクリーム色に塗り分けられたチンチン電車がやって来た。中央乗りの前降りと言うシステムで、降りる際に料金を払えば良い。グワ〜ンと言う音を立てて、重そうな車体をきしませチンチン電車は、道後温泉駅に向けて走り出した。

車窓から松山の街並みを眺め、「次は大街道」と言う車内アナウンスに思わず反応してしまう。去年の道後遠征8月の時、この大街道の「東急イン」に宿泊した。三越もこの辺りにある。まぁ、ただそれだけの事なのだが、私にとっては妙に懐かしくも思えるのだった。

道後温泉駅が見えてきた。駅前広場にはたくさんのタクシーが駐車している。観光客も大勢いてにぎわっていた。私は150円を料金箱に納め、チンチン電車の直前を横切って駅前広場に進む。「道後温泉」と大きくレリーフされたアーチが、嫌でも目に飛び込んで来る。その左どなりにはローソンがあり、毎度ここで観劇中の空腹を満たすための、兵糧を仕入れて置くのである。私はハンバーガーとクリームパン、そしてウーロン茶を購入し、Dバッグの中に忍ばせた。

ローソンから出た私は、「道後温泉」のアーチをくぐり、おみやげやの立ち並ぶ商店街をゆらり、ゆらりとおみやげやの商品を物色しながら歩いて行く。そのアーケードの道が終点になった所を左に折れ、わき道とでも言おうか、静かになった道を少しばかり歩いて行くと、右手に「道後ミュージック」の青い電飾付き看板が見えて来る。

私は一歩進むたびに近づいて来る「道後ミュージック」の看板を見ながら、胸ポケットの中にある携帯電話を取り出す。別にリオさんに電話しようとか言う訳ではなく、道後ミュージックのホームページを開いて、割引券代わりの画面を表示させるためだ。

劇場入口まであと、もう5、6歩と言うところで私は足を止めた。今さら周囲の眼を気にしたなどと言う事ではない。かと言って、集中力を高めるためにメディテーション(瞑想) をするためでもない。ただ入場する前にタバコを一本吸いたいだけだった。(爆♪)

携帯電話をi-mode につなぎっ放しにして、割引画面を表示させたまま、入口の前にたたずんでる従業員らしき人に、「こんにちは♪」と気さくな挨拶をした。するとその従業員風の男は、「いらっしゃいませ♪」と、愛想良く私の顔を見る。なぜ見る? 私の人相・風体・所属・収入... それらの情報を身なりから入手しようと思っているのかもしれない。これは只者ではあるまい。伊予藩の間者かもしれない。きっと私の事を公儀の隠密だと、探りを入れているに違いない。私はここで奥の手を出す事にした。

「この紋所が目に入らぬかーっ! ここにおわすそれがしを何と心得る、恐れ多くもこれなるは割引画面なるぞ! 頭が高い、控え、控えおろ〜う!」ガァ〜ン! ババ、バァ〜バン♪

効果はテキメンであった。携帯電話の割引画面を目にした従業員風の男は、へへ〜っ! m(_ _ )m とひれ伏し、「3千円で結構です。」と言う。私の友達が作った、この道後ミュージックの公式ホームページの割引画面は、すこぶるご威光があるものだ。だが、ここで油断してはならない。私が窓口で入場料を支払っている時、スキあり〜っ! と不意に背中を斬りつけて来るかも知れないからだ。今日は助さんも角さんも連れてきていないから、斬り合いになるとマズイ。

私は彼に背中を向けないようにして、入場料3千円を払う。まったくスキの無い私の行動に、彼は金縛りに遭ったかのように、身動き出来ず、ただじっと私の事をにらんでいるのが、関の山だった。ふふふ、ははは、あ〜はっはっはっ♪

しかし良く考えてみると、4時の開演時間前なので、割引画面のご威光など大げさに振りかざさなくとも、早朝料金は元々3千円だったと、あとで気がついた... (苦笑)

大げさに場内への扉を開け放ち、周囲の様子をうかがうと、10人程の先客が座席に散らばっていた。それがしは... って、もういいか。私は身分を隠し、指定席である入口左側の一段高い所に本陣を構えたのだった。

つづく・・・



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