もずのわくわく劇場日記 No.107-4


2004年 5月 4日(火) 
新宿ニューアート開館三周年記念!

「SNA ブロードウェイ・ミュージカル?」その 4

【第三景】森川いづみ (平松・小野)


この景あたりから、より今回のSNAブロードウェイ・ミュージカルのテーマが色濃くなって来る。そう、今回の中トリの大役を演じるのは「森川いづみ」さん。復活から一年。これまで彼女が培って来た、踊るチカラ! 演じるチカラ! を余すところなくすべて注ぎ込んだ、記念の作品にもなったと言えるだろう。

【第三景】森川いづみ (平松・小野)

暗く幕の開いているステージに、いそいそと三人の踊り子が各自のポジションにつくと、そのままBGMがフェイドインしながら流れ出す。

客席にそれぞれの踊り子は背を向けて立ち、アバウトに足を右へ、左へと投げ出すようにしてステップを踏み始めた。横一列に並んだ踊り子達は、メタリックなラメのシルクハットにモーニング、網のストッキングにハイヒールと言うスタイル。流れている曲はブロードウェイミュージカル・コーラ○ライン・・・

情景は目に浮かんだだろうか。

横一列に並んでいる踊り子、シモテから森川いづみ・平松ケイ・小野今日子。
正面に向き直り、同じように足を互い違いに振り、ゴージャスで晴れやかなショービジネスのメッカ、ブロードウェイのステージに立つ喜びを、あらわすかのように全身を揺らして三人の踊り子達は踊る。

手に持ったステッキを振り回し、まぶしい笑顔を客席へと投げ掛ける。

「夢のようだわ! 今わたしは、ブロードウェイのステージでこうして踊っている!」

きっとそれぞれが、みな厳しいオーディション、血のにじむレッスンに耐え、やっとの思いでここまで這い上がって来たに違いない。だからこそ、このブロードウェイのステージに立って踊る今、完璧で至上最高のダンスを踊り、観客を心ゆくまで楽しませ、そして・・・ 

そして、必ずブロードウェイのトップスターの座に登り詰める!

そうした野望は、このステージの上に立つ者の当然の気持ちであった。
その想いは森川いづみだって持っていた。

三人の踊り子達は、チームを組んでステージに立つ事になり、それぞれが懸命にダンスを踊っている。中央に立つ平松ケイ、カミテで踊る小野今日子。息がピッタリと合って見事なダンスを見せている。絶妙のコンビネーションだ。

しかし・・・

シモテ側で同じように懸命に踊っている森川いづみは?
右の腕を二人が振り上げる。森川いづみだけが左の腕を振り上げてしまう。

となりの二人が左足を振れば、森川いづみは右足を振ってしまう。
平松・小野が右にそろって、ターンをすれば、森川いづみは反対向きにターンをしてしまう。誰の目から見ても、森川いづみだけが、チームショーとは思えないくらい、メチャメチャな踊りをしている。そりゃぁ、まったくヒドイものだ。

それを踊りながら平松・小野の二人は横目に見て、あまりにもヒドく、どうにもならない森川いづみの事を、イライラしながら見ていた。チームと言っても、所詮はステージに立つ時だけの事。仲良しクラブでもなんでもないのだ。自分以外はみな、ライバル以外の何者でもない。いくら自分が最高のダンスをしたところで、チームメイトの森川いづみがこんなザマ!では、チームショー自体がぶち壊しなばかりでなく、自分が評価を得て、ブロードウェイのスターになる事など出来なくなるだけだ。

ある日のステージの幕が閉じた後、ついに平松ケイが森川いづみに不満を爆発!させた。
「お疲れさま」と元気なく、小さくつぶやく森川いづみ。平松ケイは、森川いづみがかむっていたシルクハットを、乱暴に奪い取る。お驚いた森川いづみが「あっ!」と声を上げた。

すると、今までは優しくしてくれていた小野今日子までが、森川いづみの持っていたステッキを、きつい目をして取り上げた! 森川いづみは、「そ、それは私の大切な・・・」と追いすがるように両手を前に指し出すが、森川いづみは二人の憤怒の顔を見て、おびえたように手を引っ込める。

身の置き所がなくなった森川いづみは、目を伏せて足元に視線を落とす。
しばし沈黙があたりを支配する。平松ケイがその沈黙をやぶる。

「あたしたちがこれまでどんな気持ちで、いづみと同じ舞台で踊ってたと思うか、あんたに分る!? なんなの? あのひどい踊りは! 別にあんたがちゃんと踊れないのなんて、あたしの知った事じゃないわ! でもね、これはチームなのよ? せっかくあたしや、今日子が一生懸命踊っても、あんたがあたし達の足を引っ張るようなダンスしか出来ないなら、もういい! 今日限りでステージを降りてちょうだい! ここはブロードウェイよ、誰もがチャンスをつかむために、血を流してやっと這い上がって来た、踊り子にとって、命のステージなのよ!」

ものすごい剣幕で平松ケイにまくし立てられ、森川いづみは、涙の雫を床に落とし、ただじっと黙っているしかなかった。行き場のない森川いづみは、ゆっくりと顔を上げ、小野今日子にすがろうとして小野今日子を見上げるが、それはさらに森川いづみを奈落の底へ突き落とす事になった。

「いづみ、悪いけどさ、ケイの言う通りよ。ブロードウェイは仲良しクラブなんかじゃない。中途半端な気持ちじゃ、ステージには立てないんだよ。みんな命がけで、自分のステージに
人生を賭けてる。泣いて、涙流して、ごめんじゃすまない世界。今さら言う話じゃないけどね。私もケイと同じ気持ちだよ。あなたと一緒のステージには、もうこれ以上立てないよ。」

森川いづみはその場に崩れ、声を上げて泣いた・・・

激しくドアの音を立てて、平松と小野は出て行った。そのドアの閉まる音は、森川いづみにとって、まるで二度と開かれる事のない、ジェイル (牢獄) の鉄格子が閉ざされたような、絶望の音だった。

一人取り残された森川いづみは、命のともし火が消えかかってるかのように、体を引きずって立ち上がると、シモテの幕裏にある、パイプ椅子の上にある真っ白なステージドレスを両手に取る。胸の前でそのドレスを持ってじっと見つめる。

私のために縫われたステージドレス・・・

「私はスパンコールの真っ白いドレスを着て、ブロードウェイの晴れやかなステージに立ち、目もくらむライト、そして拍手と歓声! すべてを独り占め、私だけのものにする!」

森川いづみが子供の頃から思い描いて来た夢だった。そしてその夢の実現に向かって、歯を食いしばってこれまでやって来た。今、やっとこの夢が、もう少しでかなう! それなのに・・

森川いづみは、ぎゅっとその衣装をにぎりしめ、頬を寄せてもう一度号泣した。
けれど、今泣いているのは絶望の涙ではなく、私は負けない! 絶対にあきらめたりしない!と言う、強い意志の涙、森川いづみ復活の意地を賭けた、熱い涙だったのだ!

ここからBGMが、復活ののろしを上げた森川いづみを応援するように、テンポアップ! ステージは一気に加速し、森川いづみは真っ白なドレスに袖を通し、パワーダンシング! 片流れの白いロングドレスはスパンコールを星屑のように散りばめ、片袖、片方はノースリーブで、胸元に淡い真綿のような縁取りがあるものだ。

森川いづみはまるでダンスの神様が乗り移ったように、別人のようなダンスを披露する。
すると、その後ろから、森川いづみに辛くあたった二人がサポートにつく。
あの時のわだかまりもジレンマも、すべてを乗り越えた所で、見事に復活した森川いづみに、平松ケイ・小野今日子が自らを捨ててエールを送る。

ブロードウェイは、懸命に頑張るものには惜しみなくチカラを与える。

森川いづみは、時折後ろを振り返りながら平松と小野を見る。平松と小野は汗をかいて踊りながら、森川いづみに、ウインクして祝福の気持ちを伝える。胸に込み上げる熱い想い。
森川いづみは心の中で二人に「ありがとう・・・」とつぶやいた。

森川いづみは今、平松ケイそして小野今日子を従え、スパンコールの真っ白いドレスを着て、ブロードウェイの晴れやかなステージに立ち、目もくらむライト、そして拍手と歓声! すべてを独り占め、それらを名実ともに自分だけのものにしたのだ!

森川いづみの幼い頃から思い描いた夢が、現実のものとなった瞬間だった・・・



キャァ〜ッ♪ この第三景ってショートストーリー物で素敵だったねぇ〜♪
もずさんにとっては、たまらんもんやった♪

ショービジネスの世界の光と影! 短い場面の中に色々なものが描かれていた。
実際はこのあとに、「いづりん」こと、森川いづみさんのソロベットショーがあるんだけど、ここまでのサクセスストーリーがあまりにも楽しくって、だいぶ長くなったのでカット!
えぇ〜!えぇ〜! と言うブーイングが聞こえてきそうだな。(爆♪)

あのね、森川いづみさんは、今年のお正月に渡辺理緒さんの応援隊として、道後に遠征したおり、発掘した? (遅い!) 素敵な踊り子さんです。で、またきっとステージ拝見に行きますと約束して、今回やっとそれが出来たのでした。

確かあんときゃ、もずさんと聞いて「お、美味しそうな名前ですねぇ〜♪」と、言っていたんだけど、彼女は「もず」と聞いて、「もずく」を連想したと言うエピソードもあった。(爆♪)

で、その1 のレポにも書いたけど、この日 SNA のクーラーは故障、場内は照明と人いきれで、異常な熱波が渦巻いていた。この中で踊る踊り子さんはたまったモンじゃない。ベットを踊っているさなか、いづりんさんは、カブリツキにいる私に、「暑い・・・ 暑い・・・」
と言って、訴えかけてきた。そう、ベットを踊りながらね。(爆♪)

暑いと言われても、私も暑くて汗びっしょりだし、どうする事も出来ないんだけど、ふと、
あれ? 森川さん、道後で一回会っただけなのに、私の事覚えてンのか? と集合ポラの時、聞いてみたらば、ちゃんと覚えていてくれとった♪ もう、うれしかったのなんのって♪
しかも、復活の記念なので、粗品ですけど、これ受け取って下さいと言われ、ポストカードももらった。そしてそのポストカードにはこんな事が書いてあった。

「みんながいづりんのステージを見て、元気になるなら、
     それがいづりんのよ・ろ・こ・びぃなりよ(^o^) いづりんの心のお薬なり。」

おいおいおい!聞いた?こんな事、中々言えねぇど〜!

すごい謙虚な方で、すっごい感動した。でもどうなんだろ?
果たして私はいづりんの心のお薬になれるやろか? 毒薬とかになら・・・(爆♪)

と言うわけで、 (ど、ど〜言うわけ?)

このレポにある森川いづみさんが、メチャメチャな踊りをしているのは、劇場でのショートストーリーの上での演技でありまして、本当はもずの目を釘ずけにするほどですから、ダンスは上手でございます。それに、いずりんさんにつべこべ言う平松ケイさん、小野今日子さんも、ストーリーの中での配役として設定したキャラクターである事を、改めて申し上げて置きます。ホントにこの舞台上のストーリーを読んで、意地悪な人達なんだぁ〜 なんて思われると、こまるので、誤解の無きようにお願いします。


次回その5へと続く・・・



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