もずのわくわく劇場日記No.108


2004年 5月 20日(木)

五月遠征道後シリーズ 1 

「姫月 涼・竜神!」



もずのわくわく劇場日記内・道後特別香盤、栄えあるオープニングを飾るのは、5月中の出演より「姫月 涼」嬢による華麗なるソロダンスショーでお楽しみ頂きます。登場の際には盛大な拍手をもってお迎え下さい。

と、劇場アナウンス調でご紹介するのは、もずさんの目をバリッ!と目覚めさせてくれた
「姫月 涼・きづき りょう」さんである。今回初めてお会いする人なのだが、これはまた
大発掘! もずさん大喜び♪

いやぁ〜 すごいわぁ。演じて踊れる、しかもバリバリ踊れる踊り子さん。にぎりしめたタンバリンから火を噴きそうな勢いで応援しちまった。ホントにこう言う人のハイレベルなショーに出会うと、劇場に通ってて良かったなァ〜♪ と心底思ってしまう。

今日の道後ミュージックは平日と言う事もあって、1回目・2回目の時は常に4〜6人と言う寒い状態であった。ところがだ、そんな中にあって、「姫月 涼」はひときわ気合の入ったステージを展開していた。

女子十二楽房のお馴染みのオープニングの曲が流れ出すとともに、カミテから現れた姫月涼は、ステージへと走り出す。紫サテンの衣装、直垂(ひたたれ)と言う武士が着ていた正装である。それをステージ衣装風にアレンジして、腰から下は袋ハカマ。牛若丸をイメージしてもらえると感じがつかめると思う。髪はアップに結い上げて、紅いかんざしと金の髪留めで止めている。

オープニング早々、激しいダンスでステージを跳ね回る。
紫の直垂の大きな袖を、旗をひるがえすようにして、クルクルとハイテンポなターンを繰り返し、踊り狂うといったダンス。これは一体何だ! 正体を見せろ!

そう思ってみていると、すぐに二曲目につながる。世界の北野武監督作品、映画「菊次郎の夏」でお馴染みのあの曲が、ダンスバージョンになったものだ。アグレッシヴに攻め立てるダンスシーン! そしてそんな中に耳に優しいメロディーの奏でるロマン。

心地良いリズムと姫月涼の、すばやくハギレの良いダンスが私のハートに火の粉を撒き散らし、ジリジリと焼け焦げる。それが快感に変わる・・・ 姫月涼の黒く大きな眼の光が、意味深に光る。盆に走り出てもその勢いは少しも変わらず、まるで強く大きなエネルギーが衣装を着て踊っていると言う感じだ。

意識的にリズムより先走って踊る場面がある。それは有り余るエネルギーの放散場所を求めてジレンマに陥るごときものである。このエネルギーの元はなんだ! すると、姫月涼はその紫の衣装をカミテ側で脱ぎ捨てると、黒いハッピスタイルになる。胸の前には金の刺繍で
「龍神」とあり、その背中には金の刺繍で大きな龍の絵が縫いこまれていた。

そう、この爆発寸前のエネルギーは、荒振る神「龍神!」を表現したパフォーマンスだったのだ。まさにこの「龍神」の持つ、ほとばしるエネルギーを過激に演じる「踊るテロリスト・姫月涼!」名門九条OSから道後ミュージックに送り込まれた、単独自爆テロ実行犯!道後ミュージック危うし!

このハイテンポな曲を少し残した所で、姫月涼はカミテに消える。場内には拡散する照明と星のキラメキにも似たフラッシュライト瞬き、エンディングまで曲が流れ、一人タンバの音がシャキシャキとこだましている。

曲がエンディングを向かえ、誰一人いないステージの灯りが消されると、一瞬間をおいて、三曲目のイントロが始まり、ソデ幕をすり抜けるようにして、姫月涼は再び登場する。

静々とステージに現れた姫月涼は、赤一色に染まった大振袖の襦袢風のシンプルな衣装に身を包み、宇多田光の曲にのせて踊りだした。

♪ 恋をして 終わりを告げ 誓う言葉 これが最後の・・・

ピンクのライトを浴びながら、姫月涼はオープニングの場面とは打って変わって、しおらしいか弱い乙女の恋に揺れる心を演じ始める。龍神と言うのは一説には女であるとも言われる。ホントにけなげで切ない場面で、見ていながら涙を誘う。

盆に出て、着物の袖を行儀よくさばき、正座して座り、自分の前に扇子をそっと置く。そして丁寧に三つ指をついて、深々と頭を下げる。ゆっくりと顔をあげると、黒い大きな瞳を細めて微笑む。その従順な所作に男ならば誰しも彼女の気持ちを受け止めてあげたいと、誘惑される事だろう。

心の中に芽生えた恋の芽を、雨から守り、風から守り、嵐から守り、包み込むように大切に大切に育てて、やがてつぼみを持ち、花の咲く日を夢見て、小さな恋の命をはぐくんで行こうとする想いが、ひしひしと伝わって来るのだ。

たまらないな、こう言う場面見せられちゃうと。最近、歳のせいか妙に涙腺が緩んで涙もろくなってる私は案の定、涙と鼻水でズルズルになってしまった。ステージの場面だけではなく、こんなに少ないお客の中でも、決して手を抜かず、一生懸命踊ってる姫月涼の事を見てると、それだけでも胸が熱くなってしまい、先日の女子バレーボールでの泣きのアナウンサーみたくなってしまいそうだ。こんなに素晴らしいステージをしている踊り子さんがたくさんいるのだから、なんとかもっと多くの人に劇場へ足を運んでもらいたいものだと思わずにはいられない。

さて、話をステージに戻すと、姫月涼は盆の上から扇子を拾い上げ、それを広げて踊りだす。曲は四曲目に移る。スケールの大きな曲である。そんな中でベットを踊る姫月涼。真っ赤な着物を背中までずらし、白い背中がまぶしく見える。肩口と首の後ろに絵が描いてある。まぎれも無く「龍」だ。姫月涼が腕を動かすたびに、それはまるで命ある者のように動く。

そう、龍が踊る。まさしく龍神が踊ってる! 姫月涼の素肌を愛撫するライトの光。そのなかで愛される事の喜びを手放しで表すものだ。

時々ふと曲の歌詞をたどる。

♪Everyday I Listen To My Heart ひとりじゃない
 深い胸の奥で つながっている
 果てしない時を越えて 輝く星が
 出会えた奇跡 教えてくれる

   ・・・

 心のしじまに 耳を澄まして
 私を呼んだなら どこへでも行くわ
 あなたのその涙 私のものに・・・

だめだ・・・ 止めどもなく涙が流れ出す。切なくて見ていられない。目にゴミが入った振りをして、左手でそっと目頭を押さえ、他のお客に見つからないようにそれをぬぐう。

それでも目をこらしていると、姫月涼は着物に体をからめるようにして踊り続け、立ち上がる。右手でその脱いだ着物の襟をつかみ上げ、体を覆うようにしながら、片目で客席を見つめ、ハラリと落としてポーズ。お客の人数と反比例するような盛大な拍手が巻き上がる。みんなジ〜ンとして見てたに違いない。

ラストソング。イントゥメンタルの曲で「○の流れに」しかも情緒たっぷりに、琴と笛でチャイニーズバージョン。盆の上で着物を拾い上げ、拍手と一緒にステージへと戻って行く。実に印象的な、姫月涼のステージだった。

ステージ構成、選曲、パフォーマンス、どれを取っても申し分なく、素晴らしかった。特に顔の表情作りは、さすがと思わせるメリハリがあり、ほんとに感動的なステージであったと思う。まだまだ未知なる素晴らしい踊り子さんがいると言うのは、うれしいものである。



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