もずのわくわく劇場日記No.114


2004年 6月 27日(日)

六月後半の浅草ロック座より

「第6景・松本浬香 編」


仁科ちあき With 松本浬香で、「CRおこちゃま」と言う至上最大の作戦! を、道後と仙台で繰り広げ、おこちゃま旋風! を巻き起こしたと言うのは、まだみなさんの記憶に新しいところではないでしょうか。

そんなおこちゃまタイフーン! の右翼を担う「松本浬香」クンが、浅草はロック座の大舞台に堂々と立ち、下町の男心に激震を走らせていると言うので、早速、われわれ取材班は・・・私一人だがね。取材班は、東京都台東区にある「浅草ロック座」に潜入したのでした。

今回の松本浬香クンは、中休みを挟んでの中トリを威風堂々! 中トリを威風堂々と・・・
何? 中休みの前が「中トリ」じゃないかって? そう言う一般的な考え方もあるにはあるが、それはマイナス思考と言うもの。思い込めば夢は千里を走る! と言う言葉もある。

なに?そんな言葉は聞いた事がない? あるんだぉ!
誰が言った名言だって? そりゃ〜・・・そりゃぁ〜・・・ もずさん♪ (^o^)/

ではもう一度、「思い込めば、夢は千里を走る!」分った? 休憩を挟んだ直後の「中トリ」第六景に抜擢された我らが松本浬香クンは、幅60メートル、奥行き25メートル、高さ18メートルの浅草のステージに登場した! なに? いくら浅草のステージがでかいとは言っても、そんなにはないって? だからぁ〜! 思い込めば、夢は千里を走る! って、あのね、気持ち! 気持ちの問題なのよ、うん。

でもさぁ、マジでステージの寸法がそんなにあったら、リボンさん大変だろうね (爆♪)
だって、今現在浅草で投げられてるリボンって、10メートルとも12メートルとも言うじゃん、もし60メートルもステージ幅があったら、一体何メートルのリボン投げればいい? ステージの幅の半分だと仮定すると、30メートルくらい無いと届かなかったりするし、もしそんなリボン巻いたら? でっかくて投げられねぇつーの。(激爆♪)

それはさておき。

中休み終了、再び後半戦開始のブザーが鳴ると、ロビーに散らばっていたお客達も、そそくさと自分の観劇ポジションに着く。私も例外ではなく、シモテ側の一番壁際、中央あたりに席を構える。その席はちょうど、盆の並びくらいの位置であり、ステージと盆でのショーを見るのに最大公約数の席だ。

ここでステージの状態を説明しよう。浅草のステージがでかいのは、すでにお分かりだと思うので、それは省く。ステージには、中央に小高くセットが組まれている。しかしそれはシンプルなもので、ステージの上にもう一つ小さなステージがあると言う感じで、二段重ねの上のステージは両サイドから、階段を登って行く事でそこに行ける。

この小ステージは、下と言うか中に浅草特有の移動盆を収納するためにあると言った方が、当てはまるかもしれない。この移動盆と言うものは、自走式で、長い花道の上を走り、踊り子さんを前盆に送り出したり、連れて帰ったりするのに使う。前盆は通常の劇場と同じくらいの大きさで、見た所普通の盆と変わりないが、浅草のスーパースター雅麗華さんが、ここぞ!と言う出し物をする時、回転しながら1メートルくらいの高さまで、せり上がると言う仕掛けがある。

6〜7年前の浅草では、お盆興行の時によくせり上がって、雅麗華さんが「これぞ浅草ロック座!」と言う華やかでゴージャスなダンスを踊っていた。この頃の浅草ロック座は、まさに夢の国と言うかストリップの大本山と言う冠にふさわしい企画・演出を行っていた。あの頃が懐かしい♪ メンバーの一人ひとりが、みんな浅草ロック座の看板スターだったもんな・・・

暗転しているステージに照明が投げ込まれると、そこは三段重ねのステージになっていて、最上段のカミテとシモテ側に、倒れこんでいる二人の踊り子。中段には4本のポールが前後2本づつ立っており、そのポールとポールをランダムに斜めに走るリボン。そのポールとポールとのあいだに、まるでクモの巣に捕われた黒アゲハ蝶のように、腕をリボンにからませて、あえいでいる松本浬香。

そのいでたちはと言うと、全身黒の網タイツに、要所要所に織り込まれた繊維が、体を隠すと言うものだ。松本浬香はそのクモの巣の中で、ゆっくりと体を左右に動かしながら、ワナにハマッタわが身の不運を嘆くようにして力なく無力な抵抗を試みる。

そんな松本浬香の背後では、カミテ側とシモテ側に倒れこんでいた踊り子二人が、ムクリと起き上がり、ポールに張り巡らされたリボンを一本づつ手に持ち、それを引いたり緩めたりしながら、上半身を揺すっている。ドロドロとしたミステリアスなシチュエーション、背景に流れるテクノティックなミュージック。

こんな場面がずっと続く。やがて、松本浬香はそのクモの巣から剥がれ落ちるようにして抜け出し、曲もブルースの切ない嘆きを切々と歌うモノに変わり、松本浬香は黒いハイヒールを片方づつ脱ぎ、お尻を床に着けて座り、背中のジッパーを引き下げ、サナギから脱皮する蝶のように白い素肌を露出する。左の肩から袖を抜き、続いて右の肩から腕を抜く・・・抜けない。袖口が裏返り、手首にひっかっかって、2、3度腕を振りながらすでに抜けている袖を、左手で引っ張りようやく抜けた。

両袖を抜いた衣装をお腹の辺りまで降ろし、体制を整えた後、両手で衣装をつかんでクビレた腰からボリュームのあるヒップをすべらせ、曲げたひざを経由して足首に至り、つま先で決着はついた。そのまま松本浬香は、準備された靴に履き替えると、同様に黒いレースのベット着を広げ、サラリとはおる。衣装の中に入った長い栗色の髪を、両手で首筋からすくい上げるようにして、背中に流した。

指先で衣装のなじまない所をつまみ、体にフィットさせる。ブルースの曲はそのまま続いている。松本浬香は、両手・両ひざを床に着き、最上段に登る階段を這い上がり、向きを変えてまっすぐに立ち上がる。そのあたりで最上段にいた踊り子二人が、シモテへと退場する。

立ち上がった松本浬香は、微笑を浮かべ、その階段をゆっくりと一歩づつ降りる。そして花道を渡り盆に進む。盆にたどり着くと、そこからベットショーになる。高い天井から松本浬香に降り注ぐ照明の光。体を丸め、髪に手グシを入れながら、身悶える松本浬香。左手が胸をまさぐり、ぎゅとそれをつかむ。背中を反らして恍惚としながら、オーガズムに達するブリッジ。ベットに使っているのはミレーヌ・ファルメールの曲。ミレーヌのファルセットボイスがセクシーに松本浬香を包み込む。

ステージから自走して来て待機していた移動盆に、松本浬香は腰掛けて客席へ微笑を振りまく。身をひるがえすようにして移動盆の上に立つ。

お〜っと! 松本浬香のベットに見取れとれている場合じゃなかった! 差し入れ!差し入れ! 早くしないと移動盆に乗ったまま、ステージまで戻ってしまうぞ〜! 私はすばやく席を立ち、壁をつたい場内入口まで走り、中央通路にたどり着いた所でタイミングを見計らい、通路を盆に向かう。移動盆の上にまっすぐ立っている松本浬香は、両腕を方の高さに開いて、イエスキリストのポーズをしている。

私は松本浬香の足元から、松本浬香を見上げている。松本浬香はそれに気がつかない。いや、ここ浅草では、踊り子は基本的にシナリオに沿ったステージを進行するので、差し入れに来ている人がいても、ある程度気がつかない振りをするのだ。そしてショーの流れを乱さない範囲で、美しく花束や差し入れを受け取るのだ。原則的には差し入れがあっても、おじぎをするだけで気軽にお客としゃべったりしない。せいぜい「ありがとうございます♪」くらいしか声を発しないのがセオリー。

浅草ロック座では、基本的に踊り子とお客の間には、明確な段差をつける。普通の劇場のように、お客と踊り子との精神的な距離を近づけないのだ。これはショービジネスに於いては重要な事であり、ステージの上で踊る踊り子はスターなのだ。浅草の舞台に立つ事のプライドとステータスへのこだわり、これが浅草ロック座のダンディズムであると言っていい。硬派なポリシーみたいなものが残存している貴重な劇場である。

松本浬香は高い位置から私を見下ろし、笑ったりせずに微笑のまま。そう、浅草ではいくら馴染みの客ではあっても、いつものように「おこちゃまリカちゃぁ〜ん♪」とか、気楽に声を掛けてはならない。あくまでも「スター踊り子・松本浬香さん」なのだ。あこがれのまなざしで、松本浬香さんの事を見つめなくてはならない。

私は、スター松本浬香さんのステージ進行を妨げないように、差し入れを移動盆の邪魔になりにくい所へ置いて、スター松本浬香さんをひと目見上げ、立ち去ろうとするとスター・松本浬香さんはヒザを曲げてしゃがみ見込もうとしているので、スターにそんな事をさせては申し訳ないと、その場を立ち去ろうとする時に、スター・松本浬香さんは、私に向かって両手を差し伸べて来たのだが、私の足はすでに自分の席へと歩き出していた。もう止まれない (爆♪)

スター・松本浬香さんは、差し出した両手を宙ぶらりんにしたまま、またショーの進行へと戻った。浬香ちゃん、悪かったね握手しなくてサ♪ (爆♪) なにしろ浅草は久しぶりだったから、おとうちゃんも浅草のタイミングとかすっかり忘れてて、ギクシャクした。(爆♪)

ステージへと移動して行く盆の上で見せる松本浬香のベットポーズは、実に伸び伸びとしていて美しかった。特に片ヒザ・片手をついて、身を横に起こして縮めてからフワっと片手・片足を伸ばすシーンのやわらかさ、伸びやかさ、ダイナミックさ、すごく綺麗だった。拍手♪

かくして移動盆はステージに到達し、スター・松本浬香さんの第六景は終了したのだった。



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