もずのわくわく劇場日記 No.123


2004年 9月19(日) 栗橋大一劇場

片瀬永遠 編 「涙を微笑みに代えて」

本日の出演 1.美樹うらら 2.片瀬永遠 3.花村眉子 4.葵こころ 5.琴葉鈴 6.朝香美穂



今回、栗橋大一劇場に乗り込んだのは2回目の後半からである。
そして何を隠そう、お目当ては「鈴ちゃん」こと、「琴葉鈴」さんなのだ。彼女のあのホンワカとした雰囲気が好きで、栗橋にやって来てしまった。

そんな訳で琴葉鈴さんが出て来るまで、お気楽な一般人としての観劇を楽しんでいる。
二回目の香盤の時は、鈴ちゃんがどんな出し物をやっているのか、それだけを見ておけば良い。次の回でレポを書く鋭い眼になって観劇するからだ。

香盤は2回目のフィナーレを迎え、本日の出演者の皆さんが一人ひとりステージに出て来る。美樹うららさんはバリバリのアイドルさん。続いて片瀬永遠さん・・・ んっ? 花村眉子さん、葵こころさん、琴葉鈴さん、朝香美穂さんと勢ぞろいするが、みなさんアイドル系の人。

そんな中で私の目を引いたのは、片瀬永遠さんだ。永遠と書いて、はるかと読ませる。意味深だね。いや、それよりも多数のアイドルさんの中で、一人、片瀬永遠さんだけ雰囲気が違う。どう違うのかと言えば、まず背が高い。しかも衣装が黒と白のストライプで、セパレーツのトップとボトム、体を締め付けるくらいのピチピチの物だ。

雰囲気的には国民年金を払っていなかった事でも有名になってしまった「江角マキ子」風のちょっと突っ張り系の挑戦的な顔をしたクールなイメージ。背中まで伸ばした黒髪が眼に美しい。初めて見る人なので、どのような人なのか見当がつかなかったが、妙にしっかりと私の視線を奪ってしまうのだ。

なぜだァ〜! と心の中で叫ぶが、まぁ今日のお目当ては鈴ちゃんなので、深く考えない事にした。全員が揃った所で、本日の合同ポラタイムとなった。ノリの良いのは朝香美穂ちゃんである。初めて見る人だが元気の良さと活舌の良い巧妙なおしゃべりは、只者ではない。(笑)

フィナーレはハショッテ置いて、ずっと気になっていた片瀬永遠さんの三回目のステージが始まる。一体どんなステージをする人なのだろう。私の興味はこの一点に絞られた。先ほどのフィナーレの時には、なんなのさぁ! 言いたい事があるならハッキリ言ってみな! みたいな視線を客席に投げていたから、きっと黒のエナメルのボンデージかなんか着て、女王様みたいなステージをするんだろうなぁと、私はあらかじめ心の準備を調えていた。(爆♪)

■ 片瀬永遠 嬢のステージが始まる

かなりにぎわっている栗橋の場内。暗転しているステージに、まずはBGMが流れ出す。アコースティックギターを軽い感じでストロークするイントロ。んっ? ポップな明るいイメージ・・・

照明がパッ! とステージを照らし出すと、シモテからヒョイ♪ とスキップをしながら出てきたのは何を隠そう片瀬永遠(はるか)嬢。頭にピーチピンクの三角巾をかむり、花柄のワンピースと言ういでたち。江角マキ子風ツッパリ系姉さんの面影はなく、もうこれ以上はない! ってくらいの満面の笑みを浮かべていて、イメージ的には「アルプスの少女・ハイジ」か、「赤頭巾ちゃん」つまり、少女風。

しかもだ、野原でそよぐ風に頬をくすぐられながら、楽しく一人遊びと言うシチュエーション。そうだなぁ、「第一景・一人野バラを摘む少女」とタイトルをつけても良い。黒エナメルのボンデージ、手にムチを持っておどろおどろしく踊る・・・ 私がイメージしていた心構えは、見事に空振りしたようだ。(爆♪)

ステージの上を円を描くようにスキップしながら、片隅に用意してあった真っ赤な野バラの束を手に取って、浮き浮きと花を摘む少女をしばし演じる。実に平和な時の流れ、日常的な何の変哲もない穏やかな風景である。

ところが、そんな少女の前に黒い影が突如立ちはだかる。あら? としゃがみこんでいた少女が目を上げると、自分とは住んでる世界が違う空気を漂わす人が・・・ 言い知れぬ恐怖と不安。それはあたかも満月に覆いかぶさる黒き雲のごとく、少女の心にかかってくるのだ。

少女はあわてて立ち上がり、不審な者に背を向けてシモテへと走り出した。はっ! 少女の行く手をはばむようにまた一人、別な者が立ちはだかる。思わず立ちすくむ少女・片瀬はるか。恐怖心は少女の心を支配する。いやっ! とっさに方向を変えてカミテへと走り出し、幕裏に消える。黒い影は少女の後を追うようにしてカミテへ。ステージからすべての人影は消える。

BGMが緊迫した雰囲気をかもし出している。ステージは暗闇の中だ。その時! やにわに銃声が二発。ドキューン! バキューン! 銃声に合わせてステージの中央の床にある照明が、強い光を二回放つ! ピカッ! ピカッ! い〜ねぇ〜この演出。Good♪

そう、得体の知れない複数の何者かは、少女を執拗に追いかけ、追い詰めて殺害に及んだのだった。「事件はステージで起きてるんじゃないんです! 事件は・・・ 事件は現場で起きてるんです!」織田裕二の悲痛な叫び声は、怒りともどかしさが混沌と交じり合い、怒号とも嗚咽とも呼べない搾り出された叫びとなって、携帯電話に向けて発せられたのだった。おや? またもずさんの話は脱線・・・ (^^ゞ

片瀬永遠さんの実際には演じずに、お客に想像させると言うニクイ演出だね。
こう言うところが私的にはとても良いと思うポイント。

少女が殺害された事でステージは急展開される。

BGMはヘビーメタルなモノになって、再び片瀬永遠はカミテより登場する。ただし、今度は衣装が西部劇のカウボーイスタイル。カウボーイハットにベスト、ホットパンツにレッグカバーとすべて黒のエナメルでコーディネート。そして腰にはガンベルトで二丁のリボルバーを両もものところに装着している。

ヘビーメタルの曲に合わせ、突如現れたカウボーイは、少女を襲ったならず者にたった一人で立ち向かう。格闘シーンを素早い巧みなダンスで表現する。殴る、蹴る、強い! 圧倒的な強さに蹴散らされるならず者ども。劣勢を巻き返すべく拳銃を抜き、容赦なくカウボーイに打ち込むならず者達。

カウボーイは素早く両もものホルダーから拳銃を抜き応戦する。BANG! BANG! BGMもちゃんと歌詞の中で、BANG! BANG! と歌っている。ともかくこのシーンでの、片瀬永遠嬢のダンスの速さは圧巻であり、最初は勢いで適当に踊ってるんだろうと思って見ていたが、三回目の時と四回目の時も、ちゃんと同じ振り付けで踊っていたので、すごいと思った。で、どっちの回が良かったかと言うと、四回目の時の方がキレ、安定性、踊りの正確さと言う点で、申し分なく踊れていた。

曲が終わりに近づくと、もはやカウボーイに立ち向かうならず者はすべて撃ち殺され、事件は終焉を迎えるのかと思いきや、戦いは終わったと思い、両手に拳銃を持ったまま一息入れているカウボーイに一瞬のスキが出来た。彼に打たれて死んだと思っている中に、まだ死かけている者が一人、最後の力を振り絞って、拳銃の引き金を引いたのだった!

ドキューン! 銃声が一発、彼の背中に向かって打ち込まれた。うっ!
吸い込むような一声を発した彼の体が、背中を反らして一瞬硬直する。すると彼の体から徐々に力が失せ、彼は自分の体を支える事が出来なくなり、ヒザを折るようにして崩れ落ち、彼は前のめりに倒れこんだのだった。照明がゆっくり落とされてステージは暗転・・・

あれまっ! 主役が撃ち殺されちゃってどうするの? と疑問に思っているところへ、カミテから真っ赤なドレスを着て、長い髪を背中に垂らしている女が、小走りに出て来た。一体この女は何者ぞ? その女はひと目見てかなり情熱的な性格の持ち主であると分かる。

そしてあたりを見回すようなしぐさで立ちすくみ、( ̄ロ ̄;) はっ!? と息を飲む。彼女の目に映った光景は、鮮烈な衝撃として受け止められたに違いない。さらに彼女は、地面(床)に転がっている一丁のコルトリボルバーを見つけ、走り寄ってそれを拾い上げると凝視する。きっとここで一体何が起きたのか、彼女には理解出来たのだろう。

硬く冷たい鉄の塊コルトリボルバーを、柔らかな女の手のひらで包み込むようにして、そっと頬を寄せた。この拳銃の持ち主の事を思って彼女は顔をゆがめ、唇を噛みしめる。言葉にならない切ない想いが胸を熱く燃やし、悲嘆に暮れる。どうやらこの女は、先ほど一人でならず者達に立ち向かい、非業の死を遂げたカウボーイを追いかけてここまでやって来たのだろう。

しかし、来て見れば思いもよらぬ事態に直面し、もはや形見となってしまった彼の拳銃を手にして放心し、熱く燃えた心の宿木を失い、ありし日の彼の面影を独り偲ぶ事しか、今の彼女にはなす術がない。まさに打ちひしがれた彼女を慰めるものは、彼の残していった一丁の拳銃だけなのだ。

彼女は握り締めた拳銃をいとおしそうに、額からまぶた、鼻から唇へと愛撫するように滑らし、そしてぎゅっ! と胸に抱きしめる。そのまま盆に転がり、さらに拳銃を愛撫しながら顔を伏せると、彼女の長い黒髪が乱れて顔を覆う。しばらくじっとして、そのまま動かない。しかしよく見ると彼女の肩が小刻みに上下しながら震えていた。

やがて右手で顔にかかる髪をかき上げると、淡い照明の中に彼女の白い顔が浮かび上がり、眉と眉の間に深く寄せたシワが、彼女の心を言葉なく語っていた。思わずイスから身を乗り出している自分に気づく。愛する者を失った心の痛みは、胸に刺さるナイフのように感じられるが、それは時の流れに比例して過去と言うモノの中にやがて埋没して行くものだよ、だから今は泣きたいだけ泣きなさい。と声をかけてあげたくなるほどに、見る者の憐憫の念をいだかせる。

盆の上で横たわり、身悶える片瀬永遠(はるか)は、悲しみに悶絶する女の姿を十二分に表現している。場内も水を打ったように静まり、片瀬永遠の演技に見入っている。そんな時だ。もう一度床に転がしてあった拳銃を拾い上げ、それを両手で顔の前に寄せ、じっと見つめる。ゆっくりとそのまま立ち上がるとステージへ戻って行く。

ステージ中央、バックスクリーンのところで客席を振り返り、泣いていたはずの彼女は遠くを見つめながら、ニヤリと笑った。お、おい! どうした? 何をしている! 彼女は右手に持った彼の拳銃の銃口を、ゆっくりと自分のコメカミに押し当てる。おだやかな微笑みを顔に浮かべ、彼女は「自分の行き場所を見つけたよ。」とでも言いたげに、笑いながら引き金に添えた人差し指に、力を込めて行く。

何をするんだ、やめろ! やめるんだ! 君がするべき事はそんなことじゃないだろ! 彼の死を無駄にするつもりなのか、そんな事をして彼が喜ぶとでも思うのか! よせーっ! 客席の誰もが、声無く彼女に向かってそう叫んでいる。さらに彼女の指が拳銃の引き金を強く・・・

照明がスパッ! と消されて、そこでステージは終わった。果たしてこのあと、彼女がどうなったのか、その結末はそれぞれのお客さん一人ひとりの胸の内にある。あなたならこのドラマの結末をどう描くのであろうか。私なら、ふふふふ・・・

■ 編集後記

さてもさても、思いがけなく素晴らしいショーに出会ってしまった私は、もう興奮状態で、くわぁ〜♪ と雄叫びを人知れずあげていた分けですが、みなさんはど〜でしょうかね、このレポートを読んで? なんか片瀬永遠って、一度ステージ見て見たいなと思いましたぁ? まじステージ、面白かったですよ。20分そこそこの時間内で、これだけのストーリー演じてるんだもの。

あえて批評するとすれば、ストーリーが前編・中篇・後編とちょっとブツ切りな感じがした。って言うのは、登場人物の三人の関係が説明不足と言うのか希薄だったから、ストーリーがブツ切りと感じたのか、まぁ、これはお芝居じゃなくて、限られた持ち時間のダンスパフォーマンスだから、あえて言及する事も無いのかな♪

ベットの時に見せる、あまりにも切なく胸の痛む情景が、それはそれはもう圧巻! でした。
片瀬永遠(はるか) さんに、心より拍手を贈ります♪



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