もずのわくわく劇場日記 No.143-4


2005年 7月 10日 道後ミュージック 開館20周年記念大会

渡辺理緒 編「ジャズマニア & NERVOUS IN THE PAINS !」



[ジャズマニア & ナーバス イン ザ ペインズ! 誕生秘話]

「レポーターさんとしては、今度の道後の開館記念の出し物どんなのがいいと思う? 」

「どんなって言われてもねぇ、最近の作品はどれもみんな濃い! からあんまし深く考え込まないで見たまんま、そのまんま気楽に見られるようなのが、ここら辺であってもいいかもね。」

「そっかぁ、ゆきのにも最近のお姉ぇの作品メッチャ濃いよねぇ〜って言われた。開館記念は7月、夏だよね。ん〜 あの超大作は先へ伸ばして、軽めの夏っぽいものを考える方がいいかなぁ・・・」

「うん、それいいかも♪ YE KE YE KE ! みたいな夏っぽい感じがいいなぁ〜♪」


--------- 時は過ぎてその後。

「もずさぁ〜ん♪ 例の新作、イメージ出来たって言うか、選曲出来たよ。」

「へぇ〜、ずい分早く出来たね。」

「ふふっ♪ あのね、九条から帰る車の中で、毎日CD聞きながら選曲したんだ。」

「そうなの? 人知れずたゆまぬ努力、ご苦労さまです。」

「結構いい感じにまとまったから、イケルと思う。ただ衣装が間に合うかどうか。
 でね、今回のは前半と後半、別々の作品なの。ここポイントね。」

「中日替えすんの?」

「違うよ、前半のダンスが一つの作品で、後半のベット前からラストまでが、もう一つの作品になってるの。ワンステージで、二度美味しいみたいなお得な作品なのね。」

「ほぉ〜! 短編、二作品のカップリングって事?」

「まぁ、そんなところかな♪ 見たら分かるって♪」


--------- 時は過ぎて、過ぎてその後。

「今空港なの。間もなく飛ぶんだけど、ジャズマニア/***** の後半部分の***** の所、もずさんに作品のタイトルつけて欲しいので、よろしく♪ さてバカンス♪ バカンス♪ 遊ぶぞォ〜♪」

うへっ! タイトル? いや、別に普通に「ジャズマニア」だけでいいんじゃないの。
と思いながらまたしても悩む事に・・・ 

今回はレポ書くのに悩まずに、お気楽に書けるようにと、お願いしたはずなんだけどね。
フタを開けてみればタイトル名を考えてか。レポート以上に悩みは深い・・・


さて! ともあれレポート書くか。

今までの経緯を読んでもらったので、渡辺理緒・夏の新作「リオマニア」は十分わかったよね。
そう、今回の新作「リオマニア」はライトで、マイルドな、軽く、夏っぽい感じの作品です。

そう言うわけで良かった♪ 良かった♪ ではまた次の新作レポートでお会いしましょ〜
バイビィ〜♪ (^o^)/~~

って、こんなところで終わりにしたらクレーム付くやろうなぁ・・・(爆♪)

あぁーっ! いかん、タイトル間違ってた! 訂正します。

×「リオマニア」
◎「ジャズマニア」 でございます。


「Tっちゃん、サクラだいぶたくさん仕込んでますね。これだけ投げたらすごい事になるね♪
 カミテのリボン職人の人も、気合入れてサクラ仕込んでたからすごく楽しみだな。」

「はい♪ 仕掛けは隆々仕上げを見てて下さい。今回は気合入ってますんで。もずさん、たまには
 リボン投げてみませんか? 」

「え? オレが? めっそうも無い! リオさん絶対よけるし、ステージ邪魔しちゃうよ。(爆♪)」

「でも、一投くらい大丈夫ですよぅ。」

「あはは♪ どこで投げればいいのか、タイミングさっぱりわかんないし。」

「そしたら、オープンの時に一投って言うのはどうです? 投げる時、背中押してあげるから。」

「マジで? やめとくよ♪ 何でも投げればいいってもんじゃないしさぁ。」

場内アナウンスが流れ、いよいよ渡辺理緒のステージが始まる。
まぁ、今回のは軽い、夏っぽいお気楽な出し物って事だから、リラックスしてリオさんの踊りでも楽しもうっと♪




もずのわくわく劇場日記 No.143-5


2005年 7月 10日 道後ミュージック 開館20周年記念大会

渡辺理緒 編「ジャズマニア & NERVOUS IN THE PAINS !」




[JAZZ MANIA]


ステージは暗幕が引かれ、何も見えない状態になっている。するとそこへスウィングするリズムの曲だけが流れて来た。チィ〜、チチ! チィ〜、チチ! チィ〜、チチ! なるほどジャズだ。
ブラスセッションが、パァ〜パッ♪ ウッドベースが、ボ、ボン、ボ〜ン、ボンボンボンボ〜♪ とジャズ特有の流れる感じのフレーズに、指パッチンでカウントを取りたくなるような、スウィングジャズ、オトナの感じだね。

け〜♪ 渋いね。どうでもいいけど、幕はよ? ずっと閉まったまんまだぜ? いつになったら開くのよ? とタンバリンでカウント叩いてると、その曲のエンディングにカブって、いきなり、タラララァ〜♪ って次の曲になる。するとジィ〜っとステージを覆っていた暗幕が左右に分かれた。

このタラララァ〜って曲が、マイナー調の枯れたようなゆっくりとした渋い曲。
My funny valentine 〜 しかも、テナーサックスの渋い、息と音色が半分半分みたいなやつで、ブボボボボ〜ってな感じで吹いている。って言うか、今回のは軽い、夏っぽいお気楽な出し物のはずじゃなかったけ?(謎)

ちょっとここで、雰囲気のイメージ描いておこう。その方が分かりやすいと思うから。


マダム・リオここはニューヨーク、マンハッタンの五番街。

夜のマンハッタンの夜景が見渡せる摩天楼、最上階の会員制高級クラブ、マダム・リオの店「ジャズマニア」

下界では何の騒ぎか、パオパオパオ・・・と鬼ごっこをするポリスのパトカーのサイレンが、かすかに聞こえてる。

でもここはマダム・リオの店

下界の喧騒など何の関係も無い。
この店は時間の観念とはまったく無縁のV.I.P. だけが疲れた心を癒しに訪れる、マンハッタン夜のオアシス。

まるで時計の止まったようなこの店で、V.I.P. な客達は、ブランディーグラスを手で温めながら、枯れたジャズに耳を傾け、マダム・リオの踊るショータイムを楽しむのである。

ふっ♪ いや、なんでもない。

「坊や、ここはまだあなたのような子が来る所じゃないわ。
 さぁ、ママにダッコされておやすみなさい。
 ふふふ♪ ぼ・う・や♪」

マダム・リオの写真見てたら、ふとそんな事言うような気がしてさ。たまらんね、こう言う感じのリオさん大好き。(笑)

さて、ステージに話を戻そうか。


するとジィ〜っとステージを覆っていた暗幕が左右に分かれた。暗かった場内に、ステージの上のライトがス〜っと広がって行く。そのステージのセンターに現れたのが、マダム・リオよ。

ブルースパンコールのゴージャスなスリムドレス。チャイニーズ風にサイドスリットが腰まで入ってて、そこから長く伸びる足の美しさと言ったら、絶品! 最高ですよ。それに、この髪型がすごくいい! ヘアピースなんだけど、なんかリオさんに良く似合ってるので、普段もこのままでいてもいいかも♪ なんかもずさん今日は変でしょ? うん♪ すごい変なの。(爆♪)

ステージにすらりと立つ渡辺理緒は、長いキセルを手に持ち、少し冷たい表情であごを上げ、
けだるい雰囲気で言う。

「いらっしゃい・・・ 今夜も来たのね。ゆっくりして行ったらいいわ・・・」

ぎゃぉ〜! 言われてみてぇ〜!!

だってさぁ、いい女からそっけなくそんな事言われたら、そらぁ〜燃えるよね!
顔では平静を装いつつ「あぁ。」なんて軽く返事しながら、心の中では・・・
「今夜こそ、絶対落としてやる!」って。(爆♪)

いや、別にリオさんはステージの上で「いらっしゃい」なんてそんな言ってないよォ。
言ってないけどね、そんな感じのする怪しげな立ちポーズなのよ。

すると、渡辺理緒はテナーサックスのきらびやかな音色にシンクロするようにして、踊り始める。それはあくまでも優雅に、ゆっくりと、怪しげに・・・

ターンをする時、ダンスポーズをする時に、例のスリットから美脚が見え隠れするのね。
なんか今回そんな所ばっかし見てる。かなりエロ来てる。(笑)

やばいな・・・ 感想も何もでないわぁ。もう黙ってじっとリオさんのセクシーなダンスに、
ただ、ただ見とれるばかり。









ははは♪ ごめん、ホントに黙って見とれてた。(爆♪)

曲が終わった。しかし、続く曲もこれがまたタバコの煙が、ゆらゆらと立ち上って行くような感じの曲で、怪しい〜の。その中で、踊りながらステージから正面を向いて、ホルダーネックになっているドレスの、首の後ろ部分を、ゆっくりベリ〜 とはがしてはずす。そして、今度はクルリと背中を前の方に持って来て、腕を背中に回し、ジッパーをジィ〜 とゆっくり降ろして行く。

ごっくん! 思わずノドを鳴らす、もずさん。(爆♪)

なんかね、そのあたりのリオさんの仕草が、ものすごいエッチなのよ。

と思ったら、いきなり! ダッダ! ダッダ! ダン! と激しく曲調が変わってリズミックに踊りだす! 油断も隙もない。

脱げかけたドレスを手で押さえながら、ハイテンポでブルースパンコールのドレスのままビシビシ! と踊るんだけども、チャイニーズスタイルのタイトドレスでしょ、体の動きがドレスに押さえ込まれる感じなんだけど、それをあえてガンガン踊るリオさんがカッコい〜んだ♪

なんたってね、もう狂犬病みたいに、ヨダレたらしながらリオさんのステージ見てるから、タンバリンもヘッタクレも無くて、むっちゃくちゃだよ、何をどう叩いているのかなんて、どうでも良かったもん。(激爆♪)

スパッ! と曲が切れたように終わると、一旦、カミテに引っ込む渡辺理緒。

やや間が開いて流れ出したのはベースのソロフレーズで、ドッド、ドット、ドドド♪ そして、トロンボーンのフレーズがそれにかぶる。さらに、女の声のスキャット。ダ、ダ、ダ〜ダバダ♪
サバダバサバダバ・・・って、11PMっぽい感じ。

渡辺理緒は、黒い帽子にブラックスパンコールのタンクトップのレオタード、黒いパンプスと言ういでたち。早いテンポで、両手を広げて歩くようなステップを踏んだり、コマを回すような勢いでターンしたりと、クールなダンスを繰り広げる。

この場面はカッコいいゾォ〜! でね、見どころは何といっても、渡辺理緒の艶やかな素肌だね。

タンクトップのレオタードから見えるのは、手足、首、肩、背中なんだけども、レオタードが黒でしょ、そのせいなのか、湯上り玉子肌よ。そりゃぁ〜もう、ピカピカ♪ つるん、つるん♪

あれぇ? リオさんて、あんなに肌がきれいだったけ? 知らなかったなぁ〜! オイルでも塗ってるのかと思うほど。って言うか、別にそれはダンスと関係ないじゃん。(爆♪)

ではこんな事ばっか書いてると、ただのエロになってしまうので、ダンスの事もちょっとだけ。ちょ、ちょっとかい! だれ? 今突っ込み入れたのは? まぁいいか。

黒い帽子をかむった渡辺理緒は、いかにもショーダンサーと言う感じで、小気味よいキレのいい小回りの効くダンスを披露する。カモシカのような脚で、たくみにステップを刻みながら、踊るのはジャズダンス。

それは歯切れよく、尚且つピタッ!って止める所はしっかり止め、左足を軸足にてスローターンしながら、スラリと右足をコンパスのように伸ばし、両腕を肩の高さで水平に広げ、微妙な間を取りつつ次のアクションへ移るタイミングを図り、伸ばしていた右足を一歩踏み出してキュッ!と止まり、右手で帽子のツバを持ってわずかにヒザを曲げて腰を落とし、短いポーズ!

ちょいとミエを切るように間合いを取って、体をひる返しながら次のステップに移る・・・
そう! ダンスも芝居も、もっとも重要なのはこう言う「間・間合い」の取り方なのさ。
踊りなんて誰でも踊れる、セリフなんて誰にでも言える。だがしかし! この「間・間合い」の取り方一つでそのダンスが、芝居が、活き活きとしたり、台無しになったりするんだよ。

渡辺理緒が天才的踊り子と人から絶賛されるのは、そう言う間合いの取り方が絶妙だからさ。
他の踊り子よりも一歩上のステージを踊れるのは、それを体得しているからなのさ。
でもそれはそう簡単に身につくようなもんじゃない。常に感性を磨く事と、生まれ持った勘どころの良さが、渡辺理緒をこんなに素敵に踊らせてるんだ。

渡辺理緒のステージを見る機会があったら、その辺りの所を意識して観劇してみるといいよ。
なぜ渡辺理緒のダンスはきれいに見えるのか、気持ちよく見ていられるのか。
「ま」なんだよ。うん。渡辺理緒はダンスを踊るんじゃなくて、「ま」を踊ってるの。

さて、ステージはそんな渡辺理緒が、曲のエンディングに合わせてピタッ! っとポーズを取って暗転。ここまでが「ジャズマニア」なのだ♪

で、ステージは暗転したまま、カクテルライトだけがぐるぐるとステージを照らし、BGMだけが流れ出す。それは、タンバリンを振って遊ぶにはちょうどいいリズムの、場面転換するためのつなぎの短いもの。それ以外の意味はない。

いよいよここからは、ジャズマニアのコンビネーション作品とでも言ったらいいのだろうか、私にタイトル名を付けろと渡辺理緒さんが言った二つ目の作品「NERVOUS IN THE PAINS !」になる。だからここまで見ていたジャズマニアとは作風も違うし、何の関連性もまったく無い。
別の作品だよ♪




もずのわくわく劇場日記 No.143-6


2005年 7月 10日 道後ミュージック 開館20周年記念大会

渡辺理緒 編「ジャズマニア & NERVOUS IN THE PAINS !」




[ NERVOUS IN THE PAINS ! (ナーバス イン ザ ペインズ ! ]

突然振り出した真夏のスコールは、ほんのひと時、激しく降ってすぐに止んだ。
再びギラギラとした太陽の日差しが、水たまりの水面をキラキラと反射させる。
そんな太陽の日差しを思わせる、ピュアでクリーンなピアノの短いフレーズが流れ出すと、またしても激くテンポの非常に速いリズムの曲調になり、タイトな手拍子がカウントを刻むように叩き出される。

へぇ〜、Nokko の曲? リオさんがこんなの使うのは、珍しいって言うか、斬新でいいね。

カミテから飛び出して来たのは渡辺理緒。
あれ? あの衣装どこかで見たような・・・ うん! 深く突っ込みは入れない事とする。(笑)

白いサテンのタキシード風の衣装を身にまとい、勢い良く弾むように颯爽と踊り出す渡辺理緒。演じる踊りが多いリオさんだけれど、この曲では NON STOP DANCING ! と言う感じで、ご機嫌にパワーダンスを魅せてくれている。

首に巻いていたクリアーロープって言うか、前の若林美保さんが傷だらけの天使の中で使っていた、黒いゴムのヒモの透明バージョンみたいなもん。それをはずして振り回し、縄跳びをするような感じ・・・ちょっと違うか、どんな事やってたっけな? 伸ばして二つに折って、それを降り回しながら踊り、素早いタイミングでさらにそれを半分に折ってすぐに、振り上げた右足のひざを曲げて、折りたたんだロープを足の裏で受け止めて、ぎゅっ!って引くんだったよね。うん、そうそう、そんな感じだ。

ここの所がダンスも小道具の取り扱いも、素早く処理しないといけないんで、見ているよりもすごく難しい場面なんだ。リオさんもこの場面では、結構苦しんでいたらしいが、うまく出来ていたみたいね。

と、Nokko の曲が終わり、次のシーンへ・・・

ブワァ〜ン・・・ ブワァ〜ン・・・
重苦しく、うめくような曲のイントロが流れ出す。

イントロが流れ・・・? ん? ど、どこかで聴いたような曲? あれ〜? 大変だ!
投光さんMD間違えたんだ! きっとそうだ、どうしよう!

( ̄ロ ̄;) はっ!? って思って、ステージのリオさんを見たら・・・

えっ! 踊ってる!? マジ? なんで?
だって、今流れてるBGMは私のCD「穏やかな時代」に収録されてる私のオリジナル曲だよ?

もしかして、もずさんの曲、渡辺理緒のステージに使ってくれたの? ホントに?

なんて事だ・・・ 信じられない・・・ 今、オレの曲が劇場のスピーカーから流れてる・・・
しかもそれで、渡辺理緒がステージを踊ってる・・・ 絶句!

夢を見てンのか? いや、夢なんかじゃない・・・ うそォ〜!

もずさんには見果てぬ夢が一個ありました。それは自分のオリジナル曲で、踊り子さんに踊ってもらえたら、もう死んでもいい! って。でも、そんなの絶対に無理って言うか、誰がそんな素人の作った曲なんか、自分の大切なステージで使える分けないですよね。だからそんな夢物語はアホらしいので、口に出して言った事など一度もありませんでした。

ところがですよ、みなさん! 信じられない事に、あの、あの! あの渡辺理緒さんが今、自分の目の前で、自分の曲で、ステージで踊ってるんですよぉ! 茫然自失・・・

だってね、渡辺理緒と言えばプロのダンサーですよぉ? それが素人の私が作った曲で、道後のステージの上で踊ってンですよぉ? あぁ・・・ ダメだ・・・ 貧血、立ちくらみ・・・

マジ嬉しいとかじゃなくって、土下座してリオさんの足の裏でも何でも、ペロペロなめちゃいますよ! ・・・ シ○さんが。(← 何でオレがやねん! ) だって、ここにそう書くと、後でホントにやらされそうだからさぁ。(爆♪)

ともかく、私は驚きを隠せないまま渡辺理緒のステージを見つめる。
それはもずさんの見果てぬ夢が今、目の前で渡辺理緒によって実現した瞬間でもある。(喜)

渡辺理緒は白い薄手のシースルーになっている布を頭の上からバッサリかぶり、花道へと進んで行く。場内ではブラックライトが点灯された。


ピアノが悲しげに、ヒステリックにアルペジオのフレーズを奏で、渡辺理緒は背中を押されるようにして盆へ向かう。白いシースルーの布が、ブラックライトを浴びて、蛍の灯す光のように
ボヤっと光る。

そんな光る布の中で渡辺理緒は、腰を折り曲げて、決して逃れられないストイックでナーバスな精神世界を、その手や体の動きで演じている。

光る布は、渡辺理緒の動きでモコモコと、様々な形を描き出す。

人の心の不安定な悩み、苦しみ、そしてそこから脱出しようと葛藤を繰り返す、混沌としたものを抽象的に表現した場面である。曲が力強く旋律を奏でる時には、光る布も激しく大きく揺れ、そして曲が引き潮のように引いて行くと、光る布もゆらゆらと陽炎の揺らめく如く・・・

人間は誰しも例外なく、こんな風に悩み、苦しみ、一人もがきながら生きて行くもんなんだよね。きっとあなたにもそんなナーバスになる時間があるはずだ。

でもどんなに心に痛みを感じても、決してそれに負けてはダメ!
必ずどこかに出口はあるのだから。心を解き放つ時は必ず来るのだから!

闇の彼方に見える駅舎(えき)の灯かりを、今、希望の光と信じつつ行く・・・ by 倉本聡


さて、そんな強いメッセージを伝える場面を演じた渡辺理緒は、力尽き盆に倒れ込む。
チャ〜ン、ギターの弦をこするような音、ツッタ! ツ、ツ、タ! リズムマシーンが刻む拍子、静かに流れ出すラストソング、再び Nokko のうなるヴォーカルが悲しげに響く。

 暑い暑い真夏の空 羽ばたく鳥は
 湧き上がる都会をすりぬけ
 日差しに帰る

 あたしは灼けた歩道に
 しゃがみ込んでまだ動けない・・・

 雨が降って 体を潤す
 時を待ち続けて 鎖をかけた心を解き放つ
 季節を待ち続けて・・・

盆に横たわる渡辺理緒は、心の痛みに打ちひしがれながらも、重い体をもたげる。
肩に掛かる髪を見るようにうつむきながら、無力な自分に傷付き、叫ぶようなベットを踊り
ポーズを切り出した。

大地から湧き上がるような大きな拍手が、渡辺理緒に手を差し伸べるように鳴り響く。
ポーズを取りながら渡辺理緒は心の中で叫ぶ。

「壊れないで! 飛ばされないで! 小さな私よ・・・」

花道をゆっくりと戻りながら、ようやくたどり着いたステージ。
中央にしっかりと立つと、力を振り絞り、高く空を見上げる。

雨が降って 体を潤す・・・

渡辺理緒の頭上から、雨ならぬサクラの花びらが、幾重にも折り重なるように降り注ぐ。

次から次へと舞い落ちる優しいサクラの花びらを体に浴びて、渡辺理緒はわずかに微笑み
空高く手を差し伸べて、ひとひらのサクラの花びらを、その小さな手の中につかむ!

そして今こそ、渡辺理緒は心に掛けた鎖を解き放つ!


ぐらり! 足元が不意に揺れる!

体から力が抜けて行く。一歩、二歩・・・

渡辺理緒はその場に踏みとどまれずに、足を踏み出した。



そして・・・


小さく体を丸めた渡辺理緒は、力なくその場にしゃがみ込み、うずくまる。

徐々に薄れていく意識。一筋の光が渡辺理緒を包むように照らす。


独りステージの上でぽつりと小さく体を丸め、渡辺理緒はうずくまったまま、
じっとしていつまでも動かない。はかなきは人の生命(いのち) の灯火か・・・


しだいに冷たくなって行く渡辺理緒の体の上に、何も知らないサクラの花が
ただひそやかに音も無く、降りつもって行くのだった・・・


 雨が降って体を潤す 時を待ち続けて

 鎖をかけた心を解き放つ 季節を待ち続けて・・・



 雨が降って・・・


次回は渡辺理緒・ポラトークと編集後記です♪ お楽しみに!


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