もずのわくわく劇場日記 No.144-2


2005年 7月 31日 蝋人形の館劇場(爆♪)

神崎雪乃 編 [どないしたん?・もず涙のタンバリンの巻] 後編



[楽日]

自宅の部屋でカバンからタンバリンを出してみた。
まさかここでタンバリンに巻いた消音機、ヘアバンドを外す訳には行かない。

しかしそれでも、握り締めたタンバリンは、良く手の中になじんでくれる。
小さく軽く振ってみると、私のタンバリンは押し殺されたような音で、チャリ♪ チャリ♪ と鳴ってくれる。胸に淀む想い。そうか、お前も踊りたいのか・・・

武士にとって、刀は魂・・・

応援隊にとって、タンバリンは同じく魂以外の何モノでもない。
たとえこの手が砕ける事になったとて、お前のかん高い叫び声が、ステージに立つ踊り子を狂おしく奮えたたせるのだ。わかっている、分かっているとも・・・

命を惜しむな! 名こそ惜しめ! 今、この身がいかなる事になろうとも、命を惜しんで成さざりしは武門も名折れ、末代までの恥辱なり! 今こそ眼にものみせてくれようぞ! おんべいしらまんだやそわか、おんべいしらまんだやそわか!

上杉謙信は妻女山頂に大篝火を焚き、旗幟を立て、上杉軍が陣取っているように偽装し、亥刻を待って妻女山を下る。そして、千曲川の雨宮・十二ケ瀬・狗ケ瀬を渡って、八幡原へと軍を進めた。

一方、武田軍別働隊一万二千は子の半刻に海津城を出撃し、妻女山へ向かう。信玄は弟信繁、嫡男義信をはじめ八千の兵を率いて八幡原に布陣し、夜の明けるのをじっと待っていた。世に有名な「啄木鳥の戦法」である。すなわち、武田軍別働隊が妻女山を奇襲し、謙信が八幡原に出て来たところを、武田軍本隊が待ち伏せて、全滅させようと言う戦略なのだ。

この武田軍の作戦の裏をかいて、八幡原に布陣した上杉軍は、濃霧の晴れるのをじっと待つ。
早朝、八幡原にたちこめていた霧は、音も無くどこかへ消え、まぶしい朝日が八幡原を照らし出す。そしてこの時、まさに歴史的合戦の火蓋が切って落とされたのだった!


22日から少しは良くなって来た手首をリハビリするつもりで、今日はタンバリンを持って応援に駆けつけた。時は楽日の二回目、おりしも神崎雪乃のステージが、今まさに始まろうとしている時だった。

場内になじみのオープニング曲が流れ出し、ステージの床をモクモクと這うスモーク、木漏れ日のような柔らかな照明の明かりが、神崎雪乃を照らし始めた。

私は今すぐにでも吠え出そうとするタンバリンを、しっかりと両手に捕まえている。
神崎雪乃がサテンの白いタキシード宝塚風の衣装で、ステージを歩き出す。
それは眼に鮮やかな真珠の妖精を思わせる。

私が登場するのは二曲目からと言うか、聞いたところによるとあれは二曲目ではなく、一つの曲を途中でカットして使っているので、あの曲全部で一曲なのだそうな。ともかく静かなオープニングでは出番が無いので、シモテ側のトイレに行くドアの所のベンチに、おとなしく座っていた。

そしていよいよ、アップテンポのリズムに変わるいわゆる二曲目が始まる。
私はベンチの席を立ち、スタンドポジションでタンバリンを身構え、おすまし顔の神崎雪乃から、笑顔あふれる神崎雪乃へと変身する瞬間を見つける。

ユーロビートのリズムで神崎雪乃は尾ひれのようなスカートを手に持ち、バタつかせて踊り出す! よし! ここぞとばかりにタンバリンを振りまして叩き出す! さすがに楽日でタンバリンさんの数も多く、私のタンバリンも周囲に埋没しながらシャキシャキ! と音を立てる。

負傷している手首の具合は、タンバリンを叩く時に当てる部分を考えながら叩けば、思っていたよりは叩けると、自分なりの自身を持つ事が出来た。ただ、これを四回目のラストまで持続させる事が出来るのかと言えば、少々疑問は残るが、それでも、神崎雪乃のステージでタンバリンを叩いて、応援できると言う事に大きな喜びを感じた。

あまりにもうれしかったので、めったに入らないシモテ側の舞台下に陣取って、タンバリンを打ちながら神崎雪乃のステージを見つめたのだった。ここにいると、神崎雪乃の甘い香水の香りが漂ってくる。それは雪乃フェロモンとも言える香りで、脳神経に作用し、感覚中枢を麻痺させる猛毒の一種なのかも知れない。

私の負傷しているはずの左手首は、雪乃フェロモンで麻酔を掛けられたのか、不思議と痛みを感じなくなっている。私にとっては、あとの事なんてどうでもいい! 今この瞬間だけ、この時だけでも神崎雪乃と同じ時間と空間を共有している事が、どんなに美しい宝石よりも、何億ものお金よりも、かけがいのない大切な宝物なのだ。

神崎雪乃が盆の上で踊りながら、チラリと私を見た。一瞬! 神崎雪乃の視線が止まる。そして何事もないかのように、神崎雪乃のダンスは激しく進んで行く。ステージに戻った神崎雪乃は、曲の終わりとシンクロさせてこの場面を終わる。

短いつなぎのBGMが、誰もいないステージに流れ、しばしの間、照明と音楽が光と音のショータイムを繰り広げている。衣装を着替え終わった神崎雪乃が、次の曲のカウントからタイミングを図って登場した。
真っ赤なスパンコールに埋め尽くされたレオタードに、黒の十字架をあしらった宝塚風の衣装。長い手足をたくみに使いながらの、リズミックなダンス&ミュージック。

ここは雪乃応援隊独自のタンバリンの叩き方があり、この曲でタンバリンをどう叩いているかで、一般助っ人応援隊、専属応援との違いが分かるのである。どこの踊り子さんの応援隊でも、それぞれにこのような、その人、その曲専用のタンバリンの叩き方があるもので、そのような部分も専属応援隊の叩くタンバリンに、耳を澄ませていると「ス」のショーが何倍も楽しめるのである。

神崎雪乃の場合、この真っ赤なレオタードを着て踊る場面がそれに相当する。一般助っ人応援隊は、この曲を通常の叩き方、チッチキ、チッチキ、チッチキ、タンタンタン! と叩く。しかし、雪乃隊はこの曲のリズムの通り、チッタ、チッタ、チタ、チ、タン! と叩くのだ。初心者のタンバリンさんだと、かなり叩きづらいと言うか、叩けない。そう言う時は決して無理をせず、普通のパターンで叩くのが良いだろう。ヘタに無理をしてこのパターンで叩くと、リズムが合わなくなり、周囲に迷惑をかけてしまうからだ。

毎度自分で勝手に「神崎雪乃のタンバリンさん」と言う看板を背負っている私は、がぜん燃えて来た! とっくに手首の痛みなど、何も感じなくなっている。激しいタンバリンの音は、ステージで踊っている神崎雪乃の耳に聞こえている様子だ。

時々こっちを見ている雰囲気がある。
私はともかく神崎雪乃応援隊である事を鼓舞するように、威勢よくタンバリンを叩きまくる。気持良くこの曲を叩き終えると、ベットショーになるので、私はまた静かにベンチの観覧席へ腰を掛けて座る。

今日神崎雪乃はこのベットショーを、黒いロングブーツで踊っている。いつもは厚底の銀ラメのサンダルなのだが、気分転換か? いやいや、このパターンでも見ごたえがあるぞ。

高々と右足を上げてLのポーズで拍手を頂き、神崎雪乃は満足出来た様子だ。
盆からステージへ戻ると、ダンスショータイムは終了である。

ポラタイムになると、何と神崎雪乃はテニスのシャラポワみたいに・・・



いや、これには触れないでおこう。(爆♪)

雪乃ちゃんはポラを撮りに行った私に、怖い眼をして言った。

「もずさん! ケガしてる言うのに何て事してるの! 当分の間、タンバリンは禁止や。」

「大丈夫や♪ ちょっとくらい叩いたかて。」

「あかん、左手は安静にしとかんと、いつまでも治らんよ!」

私の事を心配してくれる雪乃ちゃんに、心の中では感謝しながらも私は言う。

「雪乃ちゃん、それシャラポワ見たいやで♪ (^o^)」

「シャラポワ? こんなん好きなんか?」

「ごっつぅエッチで、え〜感じやん♪」

「アホや・・・ で、ポーズはどないする?」

「ポーズて、シャラポワ希望♪」

「これ撮るんかい!」

「もちろん♪」

ってな具合でシャラポラを撮り、ショーはオープンショーへと続く。
私は調子の良いタンバリンを手に取り、またスタンドポジションで雪乃ちゃんの登場を待つ。
いつものへんてこりんなBGMが流れ出し、それに合わせてビシッ! と見事なリズムを叩く私。雪乃ちゃんがステージに登場し、楽しいオープンショーが始まった。

タンバリンさんの数、7名程。にぎやかなタンバリンの音が、場内に響いている。
盆に踊り出た雪乃ちゃんは、お尻を高く盆の正面に向けたままで、ニコニコと笑っていた。ところが、ふと顔を上げると私の事を見て立ち上がる。さらに、腰に左手を当てながら、右手で私に向かって何かサインを出した。

「なに?」

問い返す視線で雪乃ちゃんを見上げると、今度は私を指差して・・・ ん? これ?
どうやらこのタンバリンを貸せ! と言っているようだ。叩くんか?

私は手に持っているタンバリンを叩くのをやめて、雪乃ちゃんに差し出すと、タンバリンを受け取った雪乃ちゃんは、それを振りながらオープンショーを踊り出した。へぇ〜、雪乃ちゃんてタンバリン叩く人なんだぁ・・・

雪乃ちゃんのタンバリンの腕前がどれほどのモノなのか、手拍子をそっと叩きながら観察する。なるほど、中々上手なんだね。オープンショーを踊りながらも、タンバリンを振り、手では叩けないので、足や腰に当てながら叩いているが、ちゃんとリズムの狂いも無く叩けていた。

お〜い、神村さん! 雪乃ちゃんタンバリンうまいぞォ〜♪ ど〜する? (^o^)
あぁ、内輪な話だった。(爆♪)

さて、オープンショーを踊りきるまで、ずっとタンバリンを持って踊っていた雪乃ちゃん。
ステージへ戻って行く直前に、タンバリンを返してくれた。ニンマリ笑いながら、客席へ向かって「たくさんのタンバリン、リボン、ありがと〜ございましたぁ〜♪」と叫ぶように言ってから、引っ込んで行った。

別にどうって事ない言葉なのに、妙にここではお客さんにウケるのはなぜ?
って言うか、私は叩いていないが・・・

ん? そ、そうか! そう言う事か・・・

一本取られたなーっ!

私がタンバリン持ってると、また叩くので、私からタンバリンを取り上げたって事か。
も〜ぅ、そう言う事をいつもさりげなくやるんだよなぁ〜 雪乃ちゃんって子は・・・
ホンマにカワイイ子ォや・・・ ケガの事、本当に心配してくれてるんだね。
おおきに♪ ありがとぅ♪ 

これだから「神崎雪乃」の事、応援せずにはいられないんだよねぇ〜 あぁ泣けた。もずさん道後でちあきやリオさんに泣かされ、ここでも雪乃ちゃんに泣かされ、このところずっと泣かされっぱなしやね。(爆♪)

いとおしき「いじめっ子」たちめ! いつかどこかでカタキを打ってやるぜ! (爆♪)
でもホンマにみんな、ありがとう♪ 完!


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