もずのわくわく劇場日記 No.160
2006年 8月20日 ライブシアター銀映 楽日 史上最強のチーム・アンサンブルローズ! ファイナル作品「エリザベート」もはやストリップを超えた伝説的名作! いまライブシアター銀映の舞台で涙の封印? 新庄愛は? 渡辺理緒は? これからどうなる! どうする! 非常に危険なので、夜中に決して一人で、見ないで下さい! 期間限定・超豪華特典付きレポートここに公開! 結成以来ダントツの実力と、圧倒的な人気を独占し続けて来たチーム「アンサンブル・ローズ!」
チーム「アンサンブルローズ」は、ストリップ界屈指!と言われる東西のダンスクィーン、ロック座の新庄愛と十三の渡辺理緒を、当時の川崎ロックが結びつけ、2001年6月1日・川崎ロックに於いて誕生させた。おりしも渡辺理緒の誕生日である。 当時の川崎ロックは、本物の踊り子を見抜く鋭い「眼」と、卓越した企画力をもっていたのだ。東西の中堅ダンシング・クィーン新庄愛と渡辺理緒を組ませて、チームショーをやらせたらこれはすごい事になるぞ! と画策した訳である。 今でこそチームショーと言うのは珍しくもないが、その当時は画期的な企画であった。 しかも、ロック座と十三と言う業界の系列、垣根を越えての大胆な企画。 なんと素晴らしい先進的なアイディアであろうか。 さて、そのような事で企画されたアンサンブルローズであるが、結成当初は「P×2 シスターズ」と言うチーム名で活動を開始した。 初めての作品は、連獅子から始まり女役・渡辺理緒を、男役・新庄愛が野生的な感性で犯し、そこから一つの愛が芽生えると言う、アグレッシヴかつヴァイオレンスなストーリー作品として上演された。 このチームショーを観劇した人々はみな、大いなる衝撃を受け興奮した。 新庄愛と渡辺理緒の卓越したダンス、並外れた企画力と演出、そして絶妙な表現力! 当人たちはともかく、観客にとっては東京の名門・ロック座の踊り子と、大阪の覇者・十三ミュージックを代表する踊り子が、それぞれの劇場の威信とプライドをかけて激突する、まさにストリップ界を二分する、天下分け目の関が原の合戦! と言う側面を呈した画期的な話題性もあり、大好評を博したのだった。 あまりにも観客はもとより、業界関係者に至るまで好評だったため、同年9月21日から10日間の日程で、新宿ニューアートにおいて「帰ってきた ! ザ・きてるワンツーシスターズ」として再演された。 こうなると走り出した新幹線のように止めることは出来ない。 そうした事から始まったチーム「アンサンブルローズ」はそのショーの完成度がすごく、チーム名が不似合いと言う事から、翌2001年8月11日、第二回作品の上演時から初めてチーム「アンサンブル・ローズ」を名乗る。 第二回目作品は、ニューヨークはクィーンズ地区のリトル・ギャングを思わせる、ハードなダンスシーンをメインにした、めっちゃダンス系のハイレベルな作品で、観客を楽しませてくれた。 しかしその翌年の2002年7月、渡辺理緒が体調不良を起して一時休業したものの、同年8月16日の川崎ロックから復帰を果たし、第三作品目の上演となる。 第三作品は筆者の一番大好きな作品で、摩天楼立ち並ぶ深夜の大都会、とあるひと気の無いビルの一室で目覚め、活動を始める「もののけ達の夜宴」を、深夜勤務の警備員にふんした新庄愛が、何事が起きたのかと探る、抽象的なミステリータッチで描いた作品である。 これはホントに絶大な好評を博し、チーム「アンサンブルローズ」の名をこの作品で不動の名としたと言っていい。観客動員数もこれまでの公演の中では、最大であり、噂では公演期間中、延べ1万5000人もの人が、アンサンブルローズのショーを見るために川崎ロックを訪れたと言うから、その人気がどれほどのものであったのか、うかがい知れると思う。 しかし渡辺理緒は、その川崎ロックの公演を最後に、長期休業に入る。 妹分の新庄愛もソロ活動に専念する。 約1年間の休養を経て、2003年7月11日から渡辺理緒は不死鳥のように、ニュー道後ミュージックにて ソロ復帰を果たすが、アンサンブルローズとしての公演はスケジュールの都合上、行われなかった。 2004年2月11日、チーム「アンサンブルローズ」ニュー道後ミュージックで復活! そのニュースは日本全国を矢のように素早く駆け巡り、第四作品目のチームショーは上演された。 その第四作品目の作品は、前年2003年に休演してしまった穴を埋めるように、なんと前編・後編と言う二部構成になっており、前編はちょっとしたスパイ物、後編はストイックな精神的「愛の世界」をテーマに描いた、アンサンブルローズのファン達の期待を裏切らない、プロ中のプロフェッショナルな二人の心情を感じ取れる作品。 同年、2004年 7月11日から、DX東寺でアンサンブルローズ登場! と言う話が出たが、劇場側のタイムスケジュール的な問題で、DX東寺でのアンサンブルローズ公演は白紙に戻り、新庄愛と渡辺理緒はそれぞれソロとして出演した。 年は明けて翌2005年6月1日から10日間の日程で、川崎ロック座において第五作品目のチーム「アンサンブルローズ」公演が行われた。お気づきかと思うが、この頃はもう時代はストリップと言うものに対して、冷たい風を送り込んで来ていた。 関東のストリップファンにとって、聖地とも言える川崎ロックは、そのあおりを喰らい、川崎ロック座と名前を変えていた。だが、我らがアンサンブルローズはそんな逆風を、け散らすかのようにパワフルなステージを展開し、川崎ロック座に、かつての全盛期をほうふつする賑わいをもたらしたのだ。 第五作品目はチーム「アンサンブルローズ」結成五周年の記念作品。なんと時代劇である。 いや、正確に言うと「時間と魂の因縁」と言うものがテーマになっている作品であり、これもまた中々面白い構成と演出になっている。 若侍の新庄愛が、妖怪「蜘蛛女」の渡辺理緒を征伐する、と言う展開で始まり、舞台の上に設置された時計の時を告げる鐘の音がボーン、ボーンと鳴るたびに場面はタイムスリップして、突然1954年のアメリカのショーパブになったかと思うと、また時計が鳴ると今度は、1734年の両シチリア王国に現れる全然関係の無い場所と話に飛んでしまう。さらに時計が鳴ると、最初の蜘蛛女・渡辺理緒と侍・新庄愛との魂をつなぐ、運命の絆と言う話に戻るわけだ。 さすがに結成5周年記念作品だけあって、構成・演出どれをとっても、練りに練り上げられている恐るべき作品だ。チームを組む踊り子は数あれど、オムニバス形式と言う画期的なショー構成、ここまでやるチームは他にはいないだろうと言うより、新庄愛と渡辺理緒だからこそ、創り上げて演じられる作品ではないだろうか。 アンサンブルローズが業界でもトップレベルのショーを行えるのは、やはり二人が才能豊かなパフォーマーであり、ショープロデューサーだからであろう。すでに単なる踊り子なんて言うレベルは、はるかに超越しているからなのだ。 そして迎えた今年、2006年3月11日・川崎ロック座において、チーム「アンサンブルローズ」第六作品目の、究極のストリップチームショー「エリザベート」が上演される事となった。この作品を最後に渡辺理緒は、引退を表明する事になる。おりしも渡辺理緒、デビュー12周年記念の週だった。 つまり、チーム「アンサンブルローズ」としても最後の作品と言う事になる訳だ。 この「エリザベート」と言う作品を舞台にのせると言う事は、渡辺理緒の長年の夢でもあった。 「エリザベート」と言う作品は、踊る作品ではない。演じる作品である。 シャープでキレの良いパワーダンスを得意とする新庄愛にとっては、両手両足を縛り上げられたような思いがするに違いない。 だが、新庄愛は渡辺理緒と最高のステージを創り上げるためなら、どんな事でもする! と、「エリザベート」を舞台にかけるため、得意のダンスを押し殺してこの作品「エリザベート」に懸命に打ち込んだのだった。 これまでアンサンブルローズの全作品を観劇し、そのレポートを書きつづっていた私は個人的な都合で、この川崎ロック座での「エリザベート」を見る事が出来なかった。それはそれは、もう悔しいなんてモンじゃなかったのだが、最後まで私達のレポートを書き続けて欲しいと言うアンサンブルローズから、ビデオをプレゼントされ、辛うじて生のステージではないが、レポートは書く事が出来た。 でも正直それでは私も、アンサンブルローズの二人も、納得の行くものではない。 やはり生のステージで「エリザベート」をみたい、そしてライブなレポートを書きたい・・・ その想いが天に通じたのか、渡辺理緒の引退ステージ、ラストのラスト週にもう一度だけ、ライブシアター銀映のステージにおいて、「アンサンブルローズ・エリザベート」が上演される事になった。 しかしこの週も私の銀映行きを邪魔するように、仕事のオファーが次々に飛び込んで来た。 このままでは最後のアンサンブルローズ・エリザベートだと言うのに、観劇に行く事が出来なくなってしまう! 私は悩みに悩んだ。そして最後の最後まで決して名古屋行きをあきらめなかった。 仕事は一生、アンサンブルローズのエリザベートはこれっきり、最後のチャンスだと。 仕事のスケジュールを調整に調整を重ね、忍耐に忍耐を重ね、もうこれ以上は待てません! と、仕事を全部断っての名古屋行き、今週銀映にいけなければ一生後悔する事になる、えいやーっ! と、家出同然で車に飛び乗り、名古屋へ向かったのだ。 ほとんど休憩も取らずに、到着したのは7月19日(土)、アンサンブルローズのエリザベートが終わったポラショーの真っ最中。・・・終わったか・・・ それでも場内に入ってアンサンブルローズのポラを撮りに行くと、「おっそーい! もう終わったよ!」といきなり渡辺理緒から怒突かれる。 「さっきのは感動のステージで、玉さんもこれまでで一番完璧なステージだったって誉めてくれたのに、レポーターが来ていないなんて。」 あのなぁ、こっちだって大変な思いしながら来たんだから! と言おうと思ったが、後が怖いので笑ってごまかす。ところが、今度は新庄愛が私を見て言う。 「もずさん、太ったね?」 髪の毛が長くなったねと言うなら「うん、まぁね♪」と笑えるんだが、ソコを突いて来るんか(苦笑) 苦し紛れに「リオさん、お腹の肉、半分あげようか?」と言ったら、「いらん!」とあっけなく撃沈。 手ごわいなぁ、アンサンブルローズ・・・ 「でも明日またチームあるんでしょ? 」と言う質問に、渡辺理緒いわく。 「明日はやらん!」 おぉ? そう来るか? ほなこっちも。 「ほ〜ぅ、じゃ今夜帰るわ。」 一瞬、うぅ・・・ と詰まった渡辺理緒。 「帰ったらあかん! 一回だけやったるわ。一回だけやよ、3回目に一回だけ。」 渡辺理緒のとなりで新庄愛があきれて笑う。「意地っ張り!」 ![]() |